65歳以上の介護保険料は月額5800円余 全国平均6%上昇

NHK 5月21日

 高齢化が急速に進み介護が必要な人が増える中、先月から65歳以上が支払う介護保険料が全国の平均で6%引き上げられ、月額5800円余りとなったことがわかりました。保険料は上昇し続けていて、介護保険制度が始まった18年前と比べて2倍になっています。
 介護保険料のうち、65歳以上が支払う金額は市区町村が3年ごとに見直し、先月、新しい保険料に改定されました。
 厚生労働省が全国の市区町村を調査した結果、平均で月額5869円となり、これまでより355円、率にして6.4%引き上げられたことがわかりました。
 市区町村で最も金額が高いのは、福島県葛尾村の月額9800円、次いで福島県双葉町が8976円、東京都青ヶ島村が8700円となっていて、政令市で最も高かったのは大阪市の7927円でした。
 一方、金額が最も低いのは北海道音威子府村の3000円、次いで群馬県草津町が3300円、東京都小笠原村が3374円となっています。
 保険料は介護保険制度が始まった18年前と比べると2倍になっていて、今後、団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年度には、およそ7200円、2040年度にはおよそ9200円まで引き上がると推計されています。
 一方、40歳から64歳が支払う介護保険料は、先月から健康保険組合に加入する大企業の社員などは収入の1.52%と、これまでより0.05ポイント増え、協会けんぽに加入する中小企業の社員などは1.57%と、これまでより0.08ポイント減少しました。
 また、市区町村の国民健康保険に加入する自営業の人などの保険料は、先月から月額の平均でおよそ2800円と、これまでよりおよそ50円増え、2025年度にはおよそ3500円に上がると推計されています。
 厚生労働省は「保険料が上がったのは介護が必要な人が増えたことに加えて、介護職員の賃金の引き上げも影響したと見られる。今後さらに介護予防などに力を入れて、保険料の増加をできるだけ抑えていきたい」としています。

介護保険料の将来予測は
 介護保険料は40歳以上の人が支払う保険料です。
 介護サービスを実施するのに必要な費用は、介護を受けた人の自己負担分のほかに、介護保険料と国や自治体が負担する公費で賄われています。
 このうち、保険料と公費の割合はそれぞれ半分ずつとなっています。高齢化が進み、介護を受ける人が増えるほど保険料は高くなっていきます。
 介護保険制度が始まった18年前には、65歳以上が支払う保険料は月額の平均で2911円でしたが、その後、上昇し続け、ことし4月には5869円と2倍になりました。介護が必要な人はこれからますます増加するため、保険料は今後も上昇し続ける見通しです。
 要介護や要支援の認定を受けた人は、昨年度629万人と制度開始時より3倍近くとなりました。さらに、団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年度には、771万人に上ると推計されています。
 また、市区町村の国民健康保険に加入する自営業の人などの保険料は、先月から月額の平均でおよそ2800円と、これまでより50円増え、2025年度にはおよそ3500円に上がると推計されています。

政令市で最高金額 大阪市は
 大阪市の介護保険料は政令市の中で最も高く、基準額で月額7927円となりました。その理由について大阪市は、「都市部なので介護サービスを提供する事業者が多く、サービスが利用しやすいため、結果的に利用者が多くなっているのではないか」と話しています。
 また、大阪市は1人暮らしの高齢者の割合が全国平均に比べて高いことも大きな理由だとしています。65歳以上の高齢者が住む世帯のうち、1人暮らしの世帯の割合は、大阪市では3年前の平成27年で42.4%と、全国平均の27.3%を大きく上回っています。
 特に西成区は平成27年で68.1%で、要介護や要支援の認定率も市内で最も高くなっています。大阪市は1人暮らしの高齢者は家族で暮らしている人よりも介護を必要とする人が多い傾向にあるとしています。
 また、介護保険料の金額の決定には被保険者の所得も影響するため、生活保護の受給者が多い大阪市では保険料が高くなるということです。
 大阪市はこのままいけば、今から7年後の2025年度には、介護保険料の基準額が1万200円程度になると見込んでいて、介護保険料をいかに抑えるかが課題だとしています。
 大阪市介護保険課の川崎武司課長は「要介護認定を受ける高齢者が多くなるのは全国どこも同じ傾向で、今後、ほかの自治体も大阪市に追いつくようになるのではないか。介護保険料を抑えることは難しいが、高齢者みずからが介護予防に取り組み、介護保険サービスに頼らないようすることが介護保険料の負担を下げることにつながると思うので、介護予防に積極的に取り組んでいきたい」と話しています。

介護に社会との接点求める人も
 大阪市北区に住む屋宜フジさん(80)も1人暮らしをする高齢者の1人です。息子を交通事故で亡くし、7年前には夫に先立たれました。
 屋宜さんはひざや目などに持病を抱えていて、去年4月に「要支援2」と判定されました。介護をしてくれる家族がいないため、週に2回、デイサービスに通って食事や入浴などをしているほか、週に1回はホームヘルパーを利用し、自宅の掃除や買い物を手伝ってもらっています。
 誰とも話をせずに自宅で過ごすことが多いという屋宜さんがデイサービスに通う理由は、生活の支援を受けるだけでなく、人とのふれあいを求めるという目的もあると言います。
 屋宜さんは「頼れる人がいないので、介護サービスがなければ生活もままならないし、生きがいもえられないので、私にとっては不可欠です」と話しています。
 屋宜さんが通う大阪・都島区のデイサービスは利用者が年々増加していて、その3割以上は1人暮らしをしていて、社会との接点を求める人も増えているといいます。
 デイサービスを運営する「スマイルステーション」の坂本文子代表取締役は「1人暮らしの高齢者は最近特に増えていて、デイサービスに来るのが待ち遠しいとか、『死ぬまで来たい』という人もいる。デイサービスは1人で暮らす高齢者の大切なつながりの場にもなっている」と話していました。

不足する介護人材
 また、今回は介護サービスを担う人材が将来、どれだけ必要になるかという推計も公表されました。
 施設などで働いたり訪問介護を行ったりしている介護人材は、2016年度には全国でおよそ190万人いましたが、2020年度にはおよそ216万人が必要となり、このままでは26万人が不足する見通しです。
 さらに、団塊の世代が全員75歳以上となる2025年度には、およそ245万人の介護人材が必要となり、このままでは55万人が不足する見通しです。
 このため、必要な介護人材を確保するためには、これから毎年6万人程度増やしていかなければならない計算となります。
厚生労働省は「介護で働く人の賃金の引き上げを今後も検討するとともに、介護ロボットの導入などで仕事の負担を減らし、必要な人材を確保していきたい」としています。

専門家「地域にあった政策必要」
 介護保険制度に詳しい淑徳大学の鏡諭教授は「介護施設などが多くあり、サービスが充実すれば保険料は高くなるし、サービスが少なければ安くなるので、保険料の金額だけでよしあしを決めることはできない。大切なのはそれぞれの自治体の介護サービスの内容であり、高齢者の生活がどのように支えられているのかを見ていかなければならない」と指摘しています。
 そのうえで「保険料が高くなっても介護サービスを充実させるため施設を多く作るとか、介護予防に力を入れて保険料を1円でも安くするとか、地域にあった政策を進めていくことが必要だ」と話しています。

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