「塗る人工皮膚」って何だ? 最先端テクノロジーでシワを隠す「セカンドスキン」

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2018年1月、資生堂はアメリカのベンチャー企業オリボ・ラボラトリーズが保有する「セカンドスキン」事業と関連事業を取得したことを発表しました。セカンドスキンとは、簡単に言えば、クリームのように肌に塗ることができる人工皮膚のこと。日本を代表するコスメブランドが目をつけた、最新技術にはどんな可能性があるのでしょうか?

再生医療に不可欠の人工皮膚

火傷などを負った人の再生治療に利用されることが多い人工皮膚は、コラーゲンやシリコンなどを原料にして人工的に作られた皮膚です。再生医療では、人の皮膚細胞を培養して増殖させた「培養皮膚」も利用されますが、培養皮膚と人工皮膚の大きな差は、移植したときの生着率。人工皮膚には、一時的に患部を覆うことはできても、やがて身体が異物と認識し、免疫反応によって生着しにくいという難点がある一方、培養皮膚にも培養するための時間が必要となるため、緊急性が高い場合や患部が大きい場合には適さないという欠点があります。そのため、皮膚組織を再現しながらしっかり生着していく人工皮膚の開発が、現在求められていると言っていいでしょう。現に、スペインでは人の細胞由来の素材を材料に、人工皮膚を作れる3Dプリンターを開発し(2017年1月)、京都大学は血流を促し皮膚の修復を促進する作用がある、ブタの皮膚由来の人口皮膚シートを開発(2018年4月)するなど、人工皮膚の開発が進展しています。

美容分野で人工皮膚を応用

主に医療の現場で使われている人工皮膚ですが、近年では美容分野への応用でも注目されています。

今回、資生堂が取得した「セカンドスキン」は、マサチューセッツ工科大学のロバート・ランガー博士、ダン・アンダーソン博士、マサチューセッツ総合病院のロックス・アンダーソン博士の3人が設立した『オリボ ラボラトリーズ』の特許技術。最初にポリマーベースのクリームを肌に塗り、その上から専用の乳液を重ねて塗ると、人工皮膚が肌と一体化して形成されるという画期的なもの。セカンドスキンは40~70マイクロメートル(0.04~0.07mm)と極薄で透明。凸凹が自然と修正されながら、まるで皮膚が透明のベールで覆われたようになり、人工皮膚があるとは思えない自然な仕上がりになるんです。セカンドスキンは弾力性に富んでいるため、ひじや膝のように日常生活でよく動かす部位に使っても良いそう。通気性もある上、水に塗れても問題はありません。医療現場における人工皮膚は損傷を起こした部位に使用されますが、セカンドスキンは健康な肌の上に使うもののため、肌への負担が小さく、免疫反応のような心配も少ないものと考えられます。

おまけにこのセカンドスキンには、乾燥を促進させてしまう化学物質などの外的環境から肌を守ってくれることも実験でわかっています。肌にバリアを作りながら、さまざまな美容成分を肌に届けることもできるというのです。
セカンドスキンの可能性

マーケティングリサーチ会社のTPCビブリオテックの発表によると、2016年度のスキンケア市場は前年度比2.4%増の1兆799億円で、2017年度は前年度比2.3%増の1兆1,044億円(見込み)と、年々拡大しています。特に“シワ”については消費者の肌悩みの上位にあり、資生堂やポーラはシワ改善をうたった商品を発売しています。また、美容液市場は前年度比5.0%増、クリーム(ジェル・ゲル)は4.4%増と大きく伸長する見通し。さらに、近年は大気汚染が問題視されていることを受けて、大気汚染から肌を守ることを前面に押し出した商品も増えていくと見込まれています。そんな背景もあり、このセカンドスキンは、シワやたるみを隠すというアンチエイジング化粧品への応用だけでなく、大気汚染から肌をガードするという目的でも商品化に応用される可能性があるでしょう。

今回の技術取得にあわせて、オリボ ラボラトリーズの研究開発チームは、アメリカにある連結子会社「資生堂アメリカズコーポレーション」へ移籍。資生堂グループとして研究開発を続けていくそうです。塗るだけでシワやたるみが瞬時に消えて、外的環境から肌を守る。人工皮膚の技術を応用した、そんな魔法のような美容クリームが、世の中に出回る日はそう遠くないのかもしれません。

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