【京都】社説:コンパクトな街  自治体の手腕が問われる

京都新聞 5/13
 「コンパクトシティー」という言葉がよく聞かれるようになった。まちづくり政策として国が推進し、地方自治体の取り組みが活発化している。
 市街地中心部に住宅や病院、商業施設、市庁舎などを集約する政策だ。急激に進む人口減少や少子高齢化が背景にある。
 戦後、モータリゼーションに伴い、大型店が道路沿いに進出。郊外開発で住宅地が広がる一方、中心市街地や駅前商店街の空洞化が進んだ。
 人口減によって財政難に直面する自治体は、ごみの収集や雪国での除雪などの経費負担がのしかかる。将来、存続が危ぶまれる「消滅可能性都市」が増えるといわれる。
 これらを解決する政策として注目されるようになった。まちをコンパクト化し、高齢者の生活維持や行政コスト削減を図ろうというわけだ。
 国は2014年に都市再生特別措置法を改正。「立地適正化計画」を策定した自治体は、国から支援を受けられる。
 今年3月には国土交通省と内閣府が32市町をコンパクトシティーのモデル都市に選んだ。交付金などで重点支援する。
 京滋でも多くの自治体で、この考えに沿った取り組みが広がっている。
 舞鶴市はこのほど、まちの将来像を示す都市計画マスタープランを新たに策定した。東、西舞鶴駅を中心とした地域を「まちなかにぎわいゾーン」とし、中心市街地2カ所に商業、公共施設や病院を集約させる。
 建設の是非を巡って昨年11月に住民投票が実施された野洲市の駅前市立病院計画も、この流れを踏まえた施策という。
 京都新聞社加盟の日本世論調査会の調査(14年9月)によると、コンパクトシティーの取り組みを進めることに肯定的な意見が55・6%と否定的の37・4%を上回った。
 しかし、理念としては賛成できても、既存の居住地域も含めた「まちの集約」を実現することは容易ではない。
 住み慣れた地域を離れたくない人も多いだろうし、点在する農村集落などをコンパクト化するのは実際には困難だ。何より憲法には「居住移転の自由」が保障されている。
 区域を絞って集約を進めることになるのではないか。その際に中心部以外の利便性が低下し、住民の間に不公平感が生まれる可能性もある。
 先行事例として注目される富山市は公設民営でLRT(新型路面電車)を導入し、中心部への居住推進のため共同住宅の建設補助などを実施した。
 一方、青森市は官民が連携して建築した駅前複合施設の経営悪化が深刻になり、市長が引責辞任している。
 コンパクト化を掲げても郊外開発が続く例は多い。助成制度で国が誘導するだけでは限界があり、地域の特性を踏まえた自治体の手腕が問われる。
 実効性を慎重に見極めた、息の長い取り組みが求められる。その大前提として、まちづくりへの住民の関心をいかに高め、意見を集約していくかが重要になるのではないか。

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