自然災害多発受け「EMIS」運用改善へ 登録義務化も、厚労省
(MF)
厚生労働省は27日の「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」(座長=遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所長)で、今年に入って自然災害が相次いでいることを受け、国の広域災害・救急医療情報システム(EMIS=Emergency Medical Information System)の運用改善に向けた緊急提案を行い了承された。厚労省は、7月豪雨、台風21号による水害被害や北海道胆振東部地震等の発生時の問題点などを踏まえて、EMISの操作性・機能改善や情報項目追加といったシステム改修の検討を本格化させる方針だ。
EMISは、発災時に医療機関が必要とする支援情報を迅速に収集することを目的にしたシステムだ。検討会では、災害時の重要なツールとなるEMISへの病院の登録率が約93%にとどまっていることから、ライフライン断絶が生命の危険に直結する患者を受け入れている病院や、透析医療などを提供する診療所ではEMISへの登録を義務化することなどを提案した。さらに停電時やオフラインでも使えるスマートフォンアプリの開発も進める予定だ。
●「電気・水」「生命維持に必要な医療機器台数など」、新規登録項目に
また、現在運用されているEMISの課題として▽システムの操作性が悪い▽入力を促す仕組みでなく病院からの入力が少ない▽断水時の給水支援、停電時の自家発電の燃料補給、非常用電源がない場合の電源車派遣に必要な入力情報の不足―などを列挙した。
その上で、新たに追加する情報項目として▽電気(自家発電機の有無、燃料の油種、燃料タンクの容量、1日で消費する燃料、平時の燃料納入業者など)▽水(貯水槽の有無、地下水利用の有無、貯水タンクの容量、1日で消費する水量)▽生命維持に必要な医療機器の台数(人工呼吸器台数、人工透析器台数)▽施設区分の細分化(周産期母子医療センター、在宅療養支援病院(診療所)、透析医療実施医療機関等の新区分を追加―を挙げ、各医療機関の登録項目に位置付けた。さらに、被災した医療機関が外部機関に支援を求める上での追加情報「ライフライン・サプライ状況」の中に、▽電気(自家発電機の燃料の残量、自家発電機の残り稼働時間数など)▽水(貯水槽の水の残量、給水車派遣の要否など)―を追加情報項目とするとした。
●システム操作性の検討、現場の声の反映を
検討会で、石川広己構成員(日本医師会常任理事)は「提案は全体的に支持する。システムの操作性向上の作業には現場の人を参加させてもらいたい。医療機関が登録するインセンティブについては、情報の双方向性の確保が大事だ」と指摘。さらに「医療機関の停電対策を進めてほしい。計画停電における在宅患者への対応も考慮すべき」とも述べた。森村尚登構成員(東京大大学院救急科学教授)は、EMISを定期的に改善できる会議体などの仕組みの整備を求めた。なお、検討会では、ドクターヘリの運用状況についてもヒアリングを行った。
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