どう生かす?外国人介護職員が直面する高い壁

FNN 2018年9月26日

2025年 介護の担い手は約34万人不足する見通し
高齢者との心の通ったコミュニケーションが大事。その一方で・・・
職員数の確保だけが先行すると、破綻する恐れも
介護の担い手34万人不足の“超高齢化社会”

「団塊の世代」が2025年ごろまでに75歳以上に達し、超高齢化社会に突入するといわれる日本。
厚生労働省の調査では2025年の介護職員の需要はおよそ244万6000人。
それに対して供給はおよそ211万人と、介護の担い手は34万人程度不足するとみられている。
この介護職不足に備える施設を取材した。
笑顔で高齢者の介護をする17歳の和田トーマスさん。
フィリピン人の母と日本人の父との間に生まれ、去年来日。埼玉県白岡市の老人保健施設「ぽっかぽか」で働いている。

フィリピン人の母、日本人の父をもつ和田トーマスさん(17)
「日本人だけで労働力を確保するのは無理」
 この施設を運営している「大樹会」では人手不足解消のため、彼らのような日系フィリピン人を雇用してきた。
高齢者の食事や入浴介助などトーマスさんの仕事ぶりは慣れたものだ。
 「大樹会」の井上直樹理事長は、「日本人だけで労働力を確保するのは無理」と嘆息する。
 事実、今年の新卒応募者はわずか5人。全員を即採用した。
 新入社員の一人、18歳の塚本百合香さんは、若者が介護業界へ来ない現状について「介護よりももっとかっこいい仕事がいっぱいある」としつつも、「色々な人と関われるし、まわりの人と意見も出しあえる楽しい場所。1回体験だけでもいいから来てみて、将来を決めるのもいいのでは」と、辛いだけじゃなく楽しいこともあることを知ってほしいと話してくれた。

「介護は楽しい。体験だけでもいいから来てほしい」と塚本百合香さん(18)
 トーマスさんは、外国人労働者としてではなく、日本国籍を持つ労働者として雇用されている。
 一方で、EPA=経済連携協定や、外国人技能実習制生として、介護現場で働く外国人も増えてきた。
しかし、これは、建前上、技術を学ぼうとする外国人を受け入れているのであって、労働者としての外国人の受け入れではなかった。

食事や入浴介助・・・トーマスさんの仕事は多岐にわたる
 しかし、深刻な介護職不足は、国の重い腰を動かした。来年4月から〝就労〟目的の新しい在留資格が設けられ、農業、建設等とともに〝介護〟の分野も対象となった。
 一定の技能や日本語能力を持つ外国人が想定されているが、井上氏も、新たな在留資格制度には大いに期待を寄せていると話す。

介護に不可欠 “コミュニケーション”の壁
 しかし介護において最も求められるのは高齢者との心の通ったコミュニケーション。
 外国人にとって、日本人的な思いやりや、労りのこもったコミュニケーションは、かなり高い壁だ。
これまで「大樹会」で働いていたフィリピン出身者も、半数が日本語のコミュニケーションができず離職。
ある程度、日本語にゆかりのある日系人でさえも、言葉の壁に挫折してしまったそうだ。
 井上氏は海外人材の育成について「日本語、文化の教育は受け入れる我々の責任。日本に来てもらうからには日本人としてうちで働いて、どうすれば張り合いをもてるようなフォローができるか真剣に考えている」と語る。
 担い手不足の解消は急務だが、数だけ確保しようと制度だけが先行してしまっては、破たんを招く恐れがある。
受け入れる側が外国人をどのように生かすのか、そして定着してもらうために何が必要なのか、当事者である現場も真剣に考えていかなくてはならない。

(執筆:フジテレビ社会部 厚生労働省担当 佐竹潤)

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