【東京】がん情報の収集、都民は「医療機関や国・自治体のホームページ」に期待―東京都

MedWatch 2018年9月10日

 がん診療連携拠点病院等を選択する際、東京都民の多くは▼医師数・診療実績▼がん種ごとの治療件数▼アクセスの良さ▼最先端医療の提供の有無—などを重視する。また、がんに罹患した場合には、▼罹患したがんの一般的な治療方法▼罹患したがんの特徴▼がん治療に伴う副作用や合併症—などに関する「正しい情報」が必要であり、医療機関や国・自治体の情報に期待している―。
 東京都が9月5日に公表した「がんに関する知識」調査結果から、こういった状況が明らかになりました(都のサイトはこちら)。

ここがポイント!
 1 都民の多くは「自分ががんの正しい知識を持っている」と考えている
 2 がんになった際、医療機関や国のホームページで、医療内容の情報を収集
 3 緩和ケア、知ってはいるが、必ずしも詳細な内容は知らず
 4 がん拠点病院の選択、「医師数・診療実績」「アクセスの良さ」などを重視

都民の多くは「自分ががんの正しい知識を持っている」と考えている
 「がん」は、我が国の死因第1位を独走しています。国は、がん対策推進基本計画を定め、例えば、「日本全国のどの地域に住んでいても、優れたがん治療を受けられる」体制(均てん化)を目指し、例えば「2次医療圏に少なくとも1つ、がん診療連携拠点病院を指定する」「がん診療連携拠点病院間でも、診療体制等に格差のあることが明らかとなっており、指定基準を厳格化する」ことなどを進めています(関連記事はこちらとこちら)。また、全国のがん診療連携拠点病院等では、CQI研究会(グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンが分析等を担当)を組織し、実名で診療データを持ち寄り、「がん医療の水準向上」に向けた取り組みを行っています(関連記事はこちら)。
 こうした取り組みが進む一方で、効果等が不明確な民間療法にすがってしまう患者も少なくありません。正しい情報と、不確かな情報が混在して、世にあふれているためと言えるかもしれません。
 そうした中で東京都では、18歳以上の都民、約300名を対象に「都民ががんに対して、どれだけ正しい知識を持っているのか」を調査し、今般、その結果を公表しました。
 まず、【がんがどのような病気であるか】について、「自分が正しい知識を持っている」と考えている人は79.3%(十分持っている:14.9%、ある程度持っている:64.4%)にのぼります。
 次に【がんの主な治療方法(手術療法、薬物療法、放射線療法)】について、「自分が正しい知識を持っている」と考えている人は63.1%(十分持っている:11.2%、ある程度持っている:51.9%)となりました。
 都民の多くは「自分が一定程度、正しい知識を持っている」と考えています。ただし、それが、医療・医学の専門家による「正しい情報」とマッチしているかどうか、今後、検証していく必要がありそうです。

がんになった際、医療機関や国のホームページで、医療内容の情報を収集
 また【がんになった場合に最も知りたい情報】については、▼罹患したがんの一般的な治療方法:63.7%▼罹患したがんの特徴:43.7%▼がん治療に伴う副作用や合併症:42.7%—などが多く、ほか▼罹患したがんの治療期間や今後の見通し:41.7%▼がん治療の費用:34.6%▼診療実績の多い病院:24.4%▼ゲノム医療など新しい分野の治療方法:22.0%▼経済的な悩みや就労についての悩みなどを相談できる窓口:11.9%▼在宅療養に関する相談窓口:7.1%▼患者同士の交流の場:5.4%―などと続いています(複数回答)。
 「医療内容」に関する知識を欲する都民が多くなっていますが、実際に「患者」になった際にどういった情報を欲するかと、比較することも期待されます。
 なお、【インターネットでのがん情報収集】にあたっては、「医療機関のホームページ」(78.0%)、「国や自治体のホームページ」(41.0%)を活用する人が多くなっており、さらなる内容等の充実に期待が集まります。

緩和ケア、知ってはいるが、必ずしも詳細な内容は知らず
 次に、【緩和ケア】について、「知っているか」と考えている人は62.4%(良く知っている:13.6%、ある程度知っている:48.8%)となっています。
 こうした人に、【緩和ケアの内容】について聞いたところ、「人生の最終段階(終末期)の患者の疼痛(腫瘍に伴う種々の不快感に関連した苦痛全体)を和らげる」こと、「医師だけでなく、緩和ケアに関する専門的な知識と技術を持つ看護師や薬剤師、医療心理に携わる者を配置した緩和ケアチームが設置された病院がある」こと、「がん患者やその家族に対し、がんと診断された時から行う、身体的・精神的・社会的な苦痛を和らげる」ことなどへの認識率は高くなっていますが、「家族も緩和ケアの対象である」「緩和ケア病棟」「緩和ケア外来」「緩和ケアセンター」を認識している人は少なく、より充実した情報提供が求められそうです。

がん拠点病院の選択、「医師数・診療実績」「アクセスの良さ」などを重視
 また、【がんと仕事との両立】については、92.5%が「知っている」と答えています。この点について、「主治医からの両立に関するリーフレットの配付」「がん検診のお知らせへの両立に関するリーフレットの同封」などが、周知に向けて効果的ではないかと都民の多くが考えていることも分かりました。
 さらに、がん診療連携拠点病院等を選択する際に重視する事項としては、▼医師数・診療実績:73.9%▼がん種ごとの治療件数:72.5%▼アクセスの良さ:65.1%▼最先端医療の提供の有無:59.0%―などが多くなっています。
  なお、都の運営する「東京都がんポータルサイト」については、「知っている」人が22.7%にとどまり、「知らない」人が4分の3超となっています。もっとも「知らないが、興味がある」人が全体の72.9%おり、より効果的なPRが必要でしょう。
 自由意見を見ると、「さまざまな情報が得られるが、信頼できるものか見分けることが重要」という声が上がっています。冒頭にも述べましたが、不確かな情報も溢れており、国や自治体、医療機関等が「正しい情報」をこれまで以上に発信していくことの重要性が増していると言えます。メディ・ウォッチでも「正しい情報」を、これまで以上に心がけていきます。

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