オンライン診療のガイドラインを解説 今後、看護師が介在する場合のルール整理も

キャリアブレインマネジメント 2018年06⽉27⽇

 奥野⽒は「オンライン診療の適切な実施に関する指 針」について解説した

 厚⽣労働省医政局医事課の奥野哲朗課 ⻑補佐は、このほど開催された「オンラ イン診療カンファレンス」(主催・DOC TOKYO)で、「オンライン診療の適切 な実施に関する指針(以下、指針)」に ついて解説した。厚労省では2018年度も 指針の改訂を予定しており、そこではオ ンラインで医師の指⽰を受けた看護師が 患者に対応する「D to N to P」(Doctor to Nurse to Patient)などについても整理 する考えだ。
  「オンライン診療」指針は悪⽤の⻭⽌めとなるか 「オンライン診療」の名称に強い違和感

■遠隔診療からオンライン診療に名称変更した背景
 指針は、厚⽣労働省の「情報通信機器を⽤いた診療に関するガイドライン作成検討会」 が2018年2⽉から3回議論し、3⽉末に取りまとめたもの。 奥野⽒は、これまでは遠隔診療などの名称が⼀般的だったが、⼀連の議論を経て「オン ライン診療」の名称が使われるようになったと説明。背景として、遠隔診療は離島やへき 地など、遠⽅とやり取りをするイメージが強かったが、近隣の在宅患者などでも活⽤され ていることから、「今回遠隔という⾔葉のイメージをあまり押し出し過ぎないように、名 前をオンライン診療にするという議論があった」とした。 今回の指針は、医師と患者間のオンライン診療(D to P)に限られているが、厚労省で は18年度も指針の改訂を予定しており、医師同⼠(D to D)やD to N to Pなどの考え⽅を 盛り込みたいとした。 奥野⽒は、医師を取り巻く環境の変化とオンライン診療が必要とされる背景を整理した。
 ⼤きな流れとして、地域包括ケアシステムが推進され、住まいを中⼼とした医療・介護 が広がっていたり、医師の働き⽅改⾰や偏在対策が求められ、⽣産年齢⼈⼝が減少してい く中で、⽣産性の向上策の⼀環として期待されているとした。 厚労省の「医師の働き⽅改⾰に関する検討会」による中間的な論点整理でも、ICTを活 ⽤した勤務環境の改善が挙げられており、育児に忙しい⼥性医師が、病院で勤務するのが 難しいといった状況を考慮すると、テレワークの⼀環としてオンライン診療を⾏ってもら うことも想定されるとした。 また、現在進められている取り組みとして、遠隔死亡診断がある。17年9⽉に公表した 「情報通信機器(ICT)を利⽤した死亡診断等ガイドライン」に基づき、看護師が患者宅 に⾏き、死の三兆候など確認したことを、ICTを通じて医師に伝えつつ、医師の死亡診断をサポートする取り組みが始まっている。奥野⽒は「このような取り組みを看取り以外に も広げていくのが、オンライン診療の役割と考えている」と述べた。 オンライン診療への期待 奥野⽒の資料を基にCBnewsで作成

■初診は対⾯が原則だが、⾮常時には柔軟に対応を
 指針では、「最低限遵守すべき事項」を守りながらオンライン診療を⾏う場合は、無診 察治療等を禁じる医師法20条に抵触しないとしている。 医師と患者の信頼関係を築き、患者の状態像を正確に把握するためにも、初診は直接の 対⾯による診療を⾏うのが原則とされている。ただし例外的に、患者がすぐに適切な医療 を受けられないが、患者のために速やかにオンライン診療による診療を⾏う必要性が認め られるような場合には、必要性・有効性とリスクを踏まえた上で、医師の判断の下、初診 でもオンライン診療を⾏うことは許容され得るとしている(ただし、オンライン診療の後 に、原則直接の対⾯診療を⾏う)。指針ではあまり具体的なルールを書き過ぎず、現場が 判断できる余地を残しているとも⾔える。 患者が診療を受ける場所は従来、医療機関や居宅などに限られると解釈されていたが、 指針では、患者のプライバシーに⼗分配慮された環境でオンライン診療が⾏われるべきと されており、要件を満たせば、職場などでも受診が可能といえる。

■SNSを活⽤する場合、医師と患者の双⽅でリスクの認識を
 指針は、通信環境についても触れている。 SNSのサービスが広がる⼀⽅で、セキュリティー⾯でのリスクも指摘されている。サー バーが⽇本になく、情報の管理や安全対策などが不明なサービスを利⽤するような場合に は、情報漏えいや不正アクセスなどのリスクがあることを医師と患者の双⽅が認識し、合 意した上で使⽤することを求めている。 奥野⽒は、当初、⼀定のセキュリティーレベルを設定する考えだったが、それでは現場 で活⽤できないといった声を受け、ルールを柔軟にしたという。 ただ、医療者としてはセキュリティーなどについて判断が難しいことも考慮しつつ、予 算を要求した上で、今後研修会を開催したいと考えている。 このほか、医師が医療機関の電⼦カルテの情報を確認しながら診療したりする場合に は、医療情報安全管理に関するガイドラインに沿った対策が必要とされている。

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