オンライン診療 治療費安くなるかと思いきやその逆になる訳

NEWSポストセブン2018年05月20日

【画面越しで病状は伝わるのか】
 今国会では「働き方改革関連法案」が議論されているが、その中でも「医師の働き方改革」に注目が集まっている。医師の時間外労働は原則、月45時間に制限される予定だ。現行では労使協定(三六協定)を結べば、時間外労働は無制限だったが、これも月平均60時間(単月で100時間未満)までに制限されることになる。
 医師の残業を減らすための方策として挙げられているのが「複数主治医制」だが、さらに “医師が目の前にいない”ケースさえも考えられる。
 全国の病床数は約135万床だが、それを2025年までに20万床減らそうとする取り組みが2015年から進められている。「手厚い医療を必要としていない」30万人超の患者を自宅などでの治療に切り替えるという。
 その取り組みの1つとして、政府は在宅オンライン診療の普及を進めている。体調が悪くて病院を受診しようとしても、医師から「重病でないなら、自宅でスマホやテレビ画面を通してオンライン診療を受けてください。薬は郵送します」と言われる日がやってくるということだ。
 遠隔医療の普及を促進するため、政府は今年4月の診療報酬改定でオンライン診療を保険適用にし、遠隔診療を行なった医師に「オンライン診察料」が1か月あたり700円支払われるようになっている。
 オンライン診療を取り入れている医療機関は、2014年時点で約560施設に増え、全国で約1万6000人の患者が利用している。2017年4月から遠隔診療サービスを開始した「ポケットドクター」は、病院と患者をオンラインでつなぐ事業を行なっており、現在約450の医療機関と提携している。
「利用されている患者さんは、保険が適用される循環器内科や消化器内科などを受診される方が多いです。たとえば、高血圧などで定期的に薬を処方されている方などは、処方のためだけに病院に通うのは大変ですが、ポケットドクターを利用すれば、テレビ電話で診察を受けたあと、処方箋や医薬品を自宅で受け取れます」(広報担当者)
 内科系では、高血圧や糖尿病、脂質異常症、肥満症、花粉症、小児ぜんそく、認知症などが対象で、他の診療科ではアトピー性皮膚炎、うつ病、前立腺肥大症、勃起不全、不眠症などがある。
 ネット診察だから診察料が安くなるかと思いきや、その逆だ。患者が払うのは、対面診療と同じ費用に「オンライン診察料700円」の1~3割分が加算される。症状が安定していて、同じ薬をもらうだけの人にとっては、通院費が不要のうえ、病院や薬局で並ぶ必要がなくなるが金銭的負担という意味においては病院や医師側のメリットのほうが大きいように思える。
 また、「画面越し」できちんと診断してもらえるのかという不安も当然生まれてくる。在宅医療専門の彩黎会ホームオン・クリニック院長・平野国美氏はこう言う。
「“特に体の異常も感じないし、薬の定期処方だけだからテレビ電話で診療してもらえばいい”と安易に考えるべきではありません。自覚症状がなくても、水面下で病気が進行していることもあります。医師もテレビ電話越しでは細かな変化に気付けない。また患者さんが自分の口だけで身体の状況を説明することが難しい場合もあるので、やはり定期的には医師が直接会って、患者さんの顔色を見たり触診したりすることは医療の原則だと思います」
 制度の変化に抗うことは難しいが、うまく付き合うことで自身のカネも、時間も、健康も守ることにつながる。

※週刊ポスト2018年5月25日号

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