特定行為研修の指定研修機関充実、研修期間中の代替職員確保などを検討せよ―日看協

MedWatch 2018年5月14日

 来年度(2019年度)予算において、看護教育の充実、訪問看護提供体制の推進、特定行為研修の充実などを行ってほしい―。
 日本看護協会は5月10日に、厚生労働省医政局の武田俊彦局長に宛てて、こういった要望を行いました(日看協のサイトはこちら)。

高齢化の進展など踏まえ、看護教育の充実が必要で、そのためには4年制化が不可欠
 国の予算(支出項目と支出額の詳細)は、12月下旬に詳細(政府予算案)が決まり、翌年の通常国会で承認されます。詳細決定の前に、各省庁で大枠を作成し、財務省と各省庁が折衝を行うことが必要で、各省庁の作成する大枠は「概算要求」と呼ばれ、例年、8月下旬に各省庁で固められます。日看協では、看護職員の資質向上に向けて必要な予算の確保を厚労省等に求めており、来年度(2019年度)予算の概算要求に向けて精力的に要望を行っています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

医政局へは、次の8項目の要望が行われました。
(1)看護師基礎教育の4年制化の実現
(2)「特定行為に係る看護師の研修制度」の推進
(3)訪問看護提供体制の推進
(4)看護職員の働き方改革の推進
(5)准看護師制度に関する課題解決
(6)医療安全管理体制の強化
(7)妊産婦にとって安心・安全な地域での出産場所確保のための体制整備の強化
(8)救命救急センターの充実段階評価の「評価項目」の早急な見直し

 まず(1)では、高齢化の進展による患者像の複雑化(在宅療養を望む重症患者の増加や、複数疾病を抱える患者の増加など)や、医学・看護学の発展を踏まえると、▼在宅看護領域の教育内容の追加▼複数疾患を抱える患者の身体状況を的確に把握・判断し、対応できるよう臨床推論力を養う教育の追加▼複雑な状況にある患者を全人的に捉え、判断し、対応する基礎となる力を養う統合教育・実習の追加—が必要不可欠であり、これらの教育時間を確保するためには、「看護師基礎教育の4年制化」が必要と改めて訴えています。

看護教育の内容が増加する一方で、教育時間は増えず、結果、実習時間が短くなってしまっている
 また一定の研修(特定行為に係る研修、以下、特定行為研修)を受けた看護師は、医師・歯科医師の包括的指示の下で手順書(プロトコル)に基づいて38の診療補助(特定行為)を実施することが可能です。医師の働き方改革の一環として「看護師へのタスク・シフティング(業務移管)」が求められており、今後も、この仕組みの重要性は増していきます。そうした中で、日看協では▼全国で特定行為研修を受講しやすい体制整備▼特定行為研修の制度に関する周知の促進▼訪問看護事業所、介護施設等に勤務する看護師の受講が促進されるよう、好事例等の都道府県行政への周知徹底、特定行為研修の推進のためのさらなる具体案の医療計画への追記—などを求めています。
 特定行為研修については、今年(2018年)2月19日時点で34都道府県・69機関が指定研修機関となっていますが、「指定研修機関がない自治体もある」「小規模な訪問看護事業所などでは、研修期間中、人員に『穴』が開いてしまう」といった課題があり、例えば「少なくとも、県内に1か所の指定研修機関を設ける」「研修期間中の代替職員を確保する策を講じる」ことなどを検討するよう、日看協は求めているのです。
 2018年2月19日に15機関が新規指定され、特定行為研修を実施する指定研修機関は34都道府県・69機関となった。青森県や新潟県、三重県、長崎県など13県では未指定となっている(白地の県)
特定行為研修の受講者は訪問看護ステーションなどで少ない
 また(6)では、▼入院期間の短縮▼医療の高度化・複雑化—などに伴って、医療機関のリスクマネジメントの重要性が増す中で、「医療安全管理者のための業務指針および養成のための研修プログラム作成指針」が現場に即した改訂になることなどを要望しています。
 特定機能病院では、ガバナンスの強化とともに「医療安全管理体制の充実」が必要とされ、例えば、院内に▼医療安全管理部門▼医療安全管理委員会▼医薬品安全管理責任者▼医療機器安全管理責任者―を統括する「医療安全管理責任者」を配置することや、専従の医師、薬剤師、看護師で構成される「医療安全管理部門」を設置し、医療事故発生時などに▼診療録などの確認▼患者・家族への説明▼発生原因の究明▼対応状況の確認▼院内従事者への必要な指導―などを実施する、といった体制を構築することが承認要件に追加されています。
 また、がん診療連携拠点病院にも、これを踏まえた「医療安全管理体制」が指定要件に追加されます(2019年度から)。こうした「高度な医療安全管理体制」が求められる中で、看護職員等に十分な医療安全に係る研修が行われるよう、プログラムの充実が必要と日看協は訴えているのです。
 さらに(7)では、地域での安心・安全な出産場所を確保するために、▼院内助産・助産師外来標準化推進のための「院内助産・助産師外来ガイドライン」の周知普及の強化▼助産師出向を推進するための都道府県への働きかけの強化▼精神疾患を合併した妊産婦に対する適切な支援を実施できる看護職育成の強化—などを要望しました。
 また(8)では、救命救急センターの評価項目に▼初療室への看護師配置▼専門性の高い看護師の配置—を追加するよう求めています。
 なお、同日、厚労省雇用環境・均等局の宮川晃局長に宛てて、「介護のために所定労働時間を短縮する制度」の義務化を要望しています。

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