宿泊・自宅療養中のコロナ患者へのオンライン診療等、【二類感染症患者入院診療加算】(250点)の算定認める―コロナ―厚労省


Gemmed 2021.8.17

 自宅や宿泊施設で療養する新型コロナウイルス感染症患者に対し、最低限の医療を確保するために、電話や情報通信機器を用いた診療を行った場合、【二類感染症患者入院診療加算】(250点)を算定できることとする―。
 厚生労働省は8月14日に事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その54)」を示し、こうした考えを明らかにしています(関連記事はこちら)。
 東京都などコロナ感染症急拡大地域においては、コロナ感染症で自宅・宿泊療養する患者が増加しています。可能な限り在宅医療や訪問看護が対面で提供されることが期待されますが、やむを得ない場合には最低限の医療提供として「電話や情報通信機器を用いた診療」で健康管理を行うことが望まれます。

自宅・宿泊療養患者に最低限の医療提供が確保されるよう、オンライン診療にインセンティブ
 新型コロナウイルス感染症の猛威は衰えるところを知らず、東京都や大阪府などでは4度目の緊急事態宣言が出され、さらに範囲も期間も拡大される見込みです。こうした中では、「感染防止策の徹底」と「医療提供体制の確保」が継続した最重要施策となることは述べるまでもありません。
 後者の医療提供体制の確保に関しては、各医療機関等の努力で▼重症患者や中等症患者などを受け入れる病床の確保▼重症患者や中等症患者などに適切に対応するための手厚い人員確保―が進められています。しかし、東京都などでは、感染力が非常に強いデルタ株(いわゆるインド型の変異株)の猛威に追い付けず、すでに「コロナウイルス感染を確認したものの、受け入れ医療機関が見つからず(ベッドが空いておらず)、入院できない」という医療提供体制の逼迫が生じています。
 そこで政府は、重症化リスク(高齢、基礎疾患保有など)のない軽症者のみならず、中等症の患者についても、健康管理体制を確保したうえで宿泊・自宅療養を求めていく方向に舵を切りつつあり、感染急拡大時には、例えば次のような対応をとることも可能である旨を示しています。「重症患者が入院できない」事態を回避することが最大の狙いです(関連記事はこちらとこちら)。

◆入院医療
▽「重症患者」や「特に重症化リスクの高い者」に重点化することも可能である
▽自宅・宿泊療養者の「症状悪化」に備えて空床を確保する

◆宿泊・自宅療養
▽入院患者以外は「自宅療養を基本」とする
▽自宅療養者への健康観察を更に強化し(パルスオキシメーターの配布や往診・オンライン診療等の医療支援体制の確保)、症状悪化の際は速やかに入院できる体制を確保する(入院への移行時の搬送手段の整備なども整える)

▽家庭内感染の恐れや自宅療養ができない事情などがある場合に宿泊療養を活用する
▽健康管理体制(往診やオンライン診療など)を強化した宿泊療養施設を増強する

 ところで、自宅・宿泊療養者の健康管理に関しては、地域医療機関や訪問看護ステーションが積極的に「在宅医療」(往診、訪問診療)や「訪問看護」を実施することが重要です。コロナ感染症では「患者の容体が急激に悪化する可能性がある」ことが知られているためです。
 そこで厚労省は、コロナ感染症で自宅・宿泊療養する患者に対し、積極的に在宅医療・訪問看護が提供されるよう、医療機関等に経済的インセンティブを与えることとし、例えば次のような診療報酬の臨時特例を設けています。

▽自宅・宿泊療養を行っている者に対して【往診料】または【在宅患者訪問診療料】を算定した日に、【救急医療管理加算1】(950点)算定できる(関連記事はこちら)

▽自宅・宿泊療養患者に対し、主治医の指示に基づいて、▼訪問看護ステーション▼保険医療機関―が緊急に訪問看護を実施した場合、訪問看護ステーションによる訪問看護では【長時間訪問看護加算】(5200円)を、保険医療機関による訪問看護では【長時間訪問看護・指導加算】(520点)を算定できる(関連記事はこちらとこちら)

 さらに、今般の事務連絡では、自宅・宿泊療養中の患者に対して、電話や情報通信機器を用いて診療を行った場合に、【二類感染症患者入院診療加算】(250点)を算定可能である旨が明示されました。
 昨年(2020年)4月8日に示された事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その9)」では、「コロナ感染症患者の入院診療に当たり、第二種感染症指定医療機関の指定の有無に関わらず、A210【難病等特別入院診療加算(1日につき)】の「2 二類感染症患者入院診療加算」(250点)を算定できる」旨が明示されました。感染拡大防止などに取り組むコストを踏まえた臨時管理と言えます。
 電話や情報通信機器を用いた診療では、こうした「感染拡大防止策に係るコスト」は発生しませんが、「積極的に自宅・宿泊療養患者の健康管理に携わってもらう」ためのインセンティブとして、加算算定が臨時特例的に拡大されたものと考えられます。
 具体的には、自宅・宿泊療養患者に対し、医師が電話や情報通信機器を用いてコロナ感染症に係る診療を行い、▼電話・オンライン初診時の214点(関連記事は)▼電話等再診料―を算定した場合にも、【二類感染症患者入院診療加算】(250点)を算定することが認められます。
 この場合、【二類感染症患者入院診療加算】は、「当該患者に対し、主として診療を行っている保険医が属する1つの保険医療機関において、1日につき1回の算定となる」点に留意が必要です。1日に複数回のオンライン診療等を行うケース、複数の医療機関等が1人の患者にオンライン診療等を行うケースもあり得ますが、「主として診療を行っている」医療機関において、1日1回のみ【二類感染症患者入院診療加算】を算定することが可能です。
 なお、この臨時特例は、当該事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その54)」の発出日(2021年8月16日)以降のものとなります(8月15日より前のオンライン診療等では、【二類感染症患者入院診療加算】の算定は不可)。
 各地域、とりわけ東京都などコロナ感染症急拡大地域においては、コロナ感染症で自宅・宿泊療養する患者が増加しています。コロナ感染症では「急速に患者の状態が悪化する」可能性を考慮すれば、できる限り在宅医療や訪問看護などの対面診療が提供されることが期待されます。
 しかし、「通常診療もあり、医療機関を長時間離れるわけにはいかないケースも少なくない」「在宅医療等の提供体制がそもそも十分に整っていない」などの実情もあります。そうした中でも、自宅・宿泊療養患者に最低限の医療提供を確保する必要があり、このために「電話や情報通信機器を用いた診療」で健康管理を行うことが望まれます。

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