訪看STの看護職配置基準を参酌すべき基準へ緩和で反対 社保審・介護給付費分科会、地域包括ケア推進で議論

キャリアブレインマネジメント 2020年11⽉06⽇
 5⽇の社会保障審議会・介護給付費分科会は、地域包括ケアシステムの推進について「認知症への対応⼒強化」「看取りへの対応」「地域の特性に応じたサービスの確保」の3テーマを議論した。「認知症専⾨ケア加算」の対象を訪問系サービスに広げる案や、「無資格者」の認知症基礎研修受講を義務付ける⽅針などが固まる⾒通し。
 認知症への対応⼒強化についてでは、施設系サービス、グループホームを対象に、認知症介護について⼀定の経験を有し、⾃治体が実施する認知症ケアに関する専⾨研修の修了者を配置する事業所を評価する認知症専⾨ケア加算がある。2019年6⽉に取りまとめられた「認知症施策推進⼤綱」では、「在宅の中重度の要介護者を含め、認知症への対応⼒を向上するための取組を推進する」とされていることを踏まえ、訪問系サービスも加算の対象に加える⽅針を厚⽣労働省が⽰した。また、介護に直接携わる職員のうち、無資格者の認知症基礎研修受講を義務付ける考えも提案され、いずれも委員から⼤筋で了承された。
 看取りでは、各サービスでの対応を充実させるために、看取り、ターミナルケアに関する基本報酬や加算の要件に「⼈⽣の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取り組みを⾏うことを明⽰する⽅針を厚労省が⽰したが、「⼩規模多機能型居宅介護」で6割以上の職員が看取りに対する知識がないなどの調査結果もある=資料1=。委員からは、⽅針には賛成するが職員への研修とセットで検討が必要(今井準幸・⺠間介護事業推進委員会代表委員)などの意⾒が出た。

資料1
 厚⽣労働省ホームページより(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000691738.pdf)※以下も同様
 地域の特性に応じたサービスの確保では、(1)看護職員の確保が難しい中⼭間地の事例などから、常勤換算で2.5⼈以上としている訪問看護ステーション(訪看ST)の看護職員配置の⼈員基準を「従うべき基準」から「参酌すべき基準」へ⾒直す=資料2=(2)特別養護⽼⼈ホームの報酬設定を定員規模別(30⼈、31-50⼈、51-80⼈)にする-との2案について、厚労省が意⾒を求めた。いずれも20年度の地⽅分権改⾰に関する提案募集において出たもの。
(2)については、20年度介護事業経営実態調査で、定員80⼈以下の特養で収⽀差率が低いとの結果も⽰された=資料3=。
 資料2
 資料3(⼀部抜粋)
 これらの案に対して委員からは、反対する意⾒が続出した。訪看STの看護職員配置では、岡島さおり・⽇本看護協会常任理事が、在宅を24時間365⽇⽀えるのとはまったく逆のインセンティブになりかねないと強く反対。オーバーワークで健康を害し休廃⽌に⾄る訪看STの事例もあるため、2.5⼈未満の配置を認めても安定的なサービスの継続は困難だと主張した。また、中⼭間地のみならず、都市部でも訪看の需要は多いが競合が多く、利⽤者が事業所を選ぶため「サービスが脆弱な事業所だと選ばれない」などの実情を説明した。
 また、⾃治体が創意⼯夫をして補助⾦などを整えている例もあるため、事業所の⾃由参⼊に「お任せ」ではなく、地域の特性に応じて提供体制をどう整えるか広い範囲で検討することを岡島⽒は求めた。
 特養の報酬設定についても、定員別の基本報酬を認めてしまうと他のサービスも規模を考慮しないといけなくなるため、報酬体系が複雑になり簡素化の議論に逆⾏する(⼩泉⽴志・全国⽼⼈福祉施設協議会理事)などの意⾒があり、賛成意⾒は出なかった。

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