医療機関が「電話等による訪問看護・指導」を行った場合、【訪問看護・指導体制充実加算】のみを算定―厚労省

Gemmed 2020.6.11.

 新型コロナウイルス感染を恐れて直接の訪問看護を拒否する在宅患者に対し、医療機関の看護職員が電話や情報通信機器を用いて訪問看護・指導を行った場合には、【訪問看護・指導体制充実加算】(150点)のみを算定可能とする。ただし当該月に少なくとも1回は直接の訪問看護を行っていることなどが条件となる―。
 厚生労働省は6月10日に事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その21)」を示し、こうした点を明確にしました(厚労省のサイトはこちら)。

目次
 1 訪問看護や電話等診療に関する医療現場の疑問に回答
 2 DPC病院等における「PCR検査の書面請求」、事前の支払基金等への届け出は不要

訪問看護や電話等診療に関する医療現場の疑問に回答
 新型コロナウイルス感染症にかかる緊急事態宣言は全都道府県で解除されていますが、一部地域でクラスター(集団感染)が発生し、東京都では患者数が再び増加傾向を示すなど、第2波・第3波への備え(感染拡大防止、医療提供体制確保など)が非常に重要となります。
 医療提供体制に関しては、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の提言を踏まえて、感染患者が急増する可能性も考慮し▼各地域において新型コロナウイルス感染患者を受け入れるベッドを維持・確保する▼うち一部は「患者発生の場合、即時に受け入れられる」状況、つまり空床とする▼その他については、都道府県から新型コロナウイルス感染患者受け入れ要請があるまでは、これまで延期を要請してきた予定入院・予定手術を含めた一般の診療を行うことを可能とする―などの方針が明確化されました。
 また、こうした医療提供体制を経済的に支えるために、診療報酬上の柔軟措置・特例も行われてきており、例えば、新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れた医療機関の負担を考慮し、これまでに次のような点数算定が可能となっています。

(1)外来、在宅医療で、新型コロナウイルス感染症患者および疑い患者を診療した場合
→通常の点数(初診料や再診料、外来診療料)に加えて【院内トリアージ実施料】を算定可能(1回につき+300点)(関連記事はこちら)

(2)一般病棟等で、軽症の新型コロナウイルス感染症患者(確定患者のみ)を入院させた場合
→入院基本料等に加えて【救急医療管理加算】(1日につき+950点)・【二類感染症患者入院診療加算】(1日につき+250点)を算定可能(都合+1200点となる)(関連記事はこちら)

(3)一般病棟で、中等症の新型コロナウイルス感染症患者(確定患者のみ)を入院させた場合
→入院基本料等に加えて【救急医療管理加算】×3(1日につき2850点)・【二類感染症患者入院診療加算】(1日につき+250点)を算定可能(都合+3100点となる)(関連記事はこちらとこちら)

(4)新型コロナ専用のICU等で、重症の新型コロナウイルス感染症患者(確定患者のみ)を入院させた場合
→ICU等の入院料×3+【二類感染症患者入院診療加算】×4(または2)(例えば【特定集中治療室管理料1】のユニットでは、7日目まで都合+2万9422点となる)(関連記事はこちらとこちら)

(5)訪問看護において、新型コロナウイルス感染症患者および疑い患者を看護した場合
→通常の点数(訪問看護療養費)に加えて、訪問看護ステーションでは【特別管理加算】(2500円)を、医療機関では【在宅移行管理加算】(250点)を算定可能(関連記事はこちら)

(6)PCR検査・抗原検査を保険適用し、PCR検査については▼無症候患者にも医師の判断で実施可能なことを明確化する▼DPCにおいて出来高算定を可能とする―(関連記事はこちらとこちらとこちら)

(7)医療機関の直接受診による新型コロナウイルス感染リスクを低減するため、電話や情報通信機器を用いた診療を大幅に拡大し、「初診」についても可能とする―(関連記事はこちらとこちらとこちら)

 今般の事務連絡では、このうち(5)の「訪問看護」、および(7)の「電話等を用いた診療」などに関し、医療現場からの疑問に回答を行っています。
 まず(5)の「訪問看護」に関して、上記のほか「電話や情報通信機器を用いた訪問看護」が臨時特例的に可能となっています。「1か月に少なくとも1日は訪問看護を実施する」ことを条件に、新型コロナウイルス感染を懸念する利用者に対し、電話や情報通信機器を用いて訪問看護ステーションの看護職員が病状確認や療養指導を行った場合に、【訪問看護管理療養費】のみが算定できます(関連記事はこちら)。
 この点、医療機関で同様の対応(電話等による訪問看護や指導)を行った場合には、次のように診療報酬を算定することが明確にされました。

▽C005【在宅患者訪問看護・指導料】、またはC005-1-2【同一建物居住者訪問看護・指導料】を算定している患者に対し、電話等での訪問看護・指導を行った場合には、【訪問看護・指導体制充実加算】(150点)のみを算定可能とする(【在宅患者訪問看護・指導料】等は算定せず、加算のみを算定する。電話等による対応を行った日について算定可能)

▽この場合、▼医師による指示の下、患者・家族等に十分に説明し同意を得た上で実施する▼当該月に訪問看護・指導を1日以上提供している▼「医師の指示内容」「患者等の同意取得」「電話等による対応の内容」について記録に残す―ことが必要である(訪問看護ステーションによる場合と同様)

▽すでに【訪問看護・指導体制充実加算】を算定している患者に対し、電話等での対応を行った場合にも、当該加算を別途算定できる

▽I012【精神科訪問看護・指導料】を算定している患者についても、同様の取扱いとする(電話等での対応を行った場合、【訪問看護・指導体制充実加算】のみを算定できる)

▽【訪問看護・指導体制充実加算】を、電話等での訪問看護・指導についてのみ算定する医療機関については、当該加算の施設基準(24時間訪問看護体制確保など)を満たしているものとみなし、届け出は不要とする

 また、上記(5)のとおり、新型コロナウイルス感染症患者および疑い患者に対し、医療機関から訪問看護を行った場合には、C005【在宅患者訪問看護・指導料】に加えて、【在宅移行管理加算】(250点)を算定できます。この点、I012【精神科訪問看護・指導料】を算定するケースで、新型コロナウイルス感染症患者および疑い患者に対し医師から感染予防の必要性についての指示を受けた上で、必要な感染予防策を講じて看護を行った場合にはI012【精神科訪問看護・指導料】に加えて、【在宅移行管理加算】(【在宅患者訪問看護・指導料】の加算、250点)を算定できることが明確にされています。

DPC病院等における「PCR検査の書面請求」、事前の支払基金等への届け出は不要
 さらに今般の事務連絡では、(5)の電話等診療を含めて、次のような点について明確にしています。

▽PCR検査(核酸検査)について、上記(6)のようにDPC病院や特定機能病院では「別途、出来高算定できる」こととなり、その場合には検査料・判断料について書面で費用請求する(包括診療の請求とは別に)。この点、書面請求については「療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令」で「あらかじめ、その旨を当該請求に係る審査支払機関に届け出なければならない」(第7条第1項)とされているが、今般の臨時特例措置では、この届け出は不要である

▽歯科医療機関において、電話等による再診を行う場合、要件を満たせば▼乳幼児加算▼時間外加算▼休日加算▼深夜加算▼乳幼児時間外加算▼乳幼児休日加算▼乳幼児深夜加算▼明細書発行体制等加算―を算定できる(3月5日に遡って算定可能)

▽歯科医療機関において、電話等による初診を行う場合、要件を満たせば▼乳幼児加算▼時間外加算▼休日加算▼深夜加算▼乳幼児時間外加算▼乳幼児休日加算▼乳幼児深夜加算―を算定できる(4月27日に遡って算定可能)。この場合、電子請求を行う歯科医療機関では当該加算について書面請求を行う(他の診療報酬は通常の電子請求とする)こととし、書面請求を行う歯科医療機関では通常の請求を行う

▽新型コロナウイルス感染拡大防止のため、▼歯科外来診療環境体制加算▼在宅療養支援歯科診療所▼かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所―の施設基準で求められる研修について、必要な内容を網羅していれば、e―ラーニング等のWEB配信受講でも可能とする

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