理学療法士等による訪問看護の適正化、診療・支払側とも同意「機能強化型」に看護職員の割合要件追加、計画書に職種記載

M3.com レポート 2019年11月20日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は11月20日の中医協総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)で、訪問看護の24時間対応や重症患者等への対応体制を充実するため、訪問看護ステーションの「機能強化型」の看護職員について一部を常勤換算により満たせるようにする一方、理学療法士等による訪問看護には制限を加えることなどを提案、診療側と支払側、双方とも同意した。
 「機能強化型」が算定する訪問看護管理療養費は、重症患者の受け入れ等を要件とするが、理学療法士等従事者の割合が高い訪問看護ステーションでは、それ以外よりも、24時間対応体制加算の届出やターミナルケアの実施が少ない傾向にある(資料は、厚労省のホームページ)。
 「最近の訪問看護ステーションは、リハビリ主体のところが本当に多くなっている。あくまで訪問看護を提供すべき。また介護保険との関係もあり、今回は(介護報酬との)同時改定ではないが、整合性を図りながら、よい方向に進めてもらいたい」(全日本病院協会会長の猪口雄二氏)と求める声が上がった。
 厚労省の改定案は、▽機能強化型訪問看護管理療養費に、看護職員の配置割合の要件を入れる、▽理学療法士等による週4日目以降の訪問看護の評価の見直し、▽訪問看護計画書、報告書に訪問する職種の記載――など。
 日本医師会常任理事の松本吉郎氏は、「看護職員の割合が少ない訪問看護ステーションは、重症患者を受け入れるという機能強化型訪問看護管理療養費に求められる役割を、十分に発揮できていないのではないか。看護職員の割合要件を加えるなどして、適正化を進めることが必要」と厚労省案を支持。さらに原則週3日までの訪問看護が、週4日以上認められるのは、重症患者等への対応のためであるとし、「理学療法士が行う場合には、医療的ケアが少ない。理学療法士が4日目以降に行う場合には、医師が改めてその必要性を指示書に記載するなど対応をしてはどうか」と提案した。
 チーム医療推進協議会代表の半田一登氏は、「理学療法士等が8割以上を占める訪問看護ステーションは異常。是正していくことが必要」と述べたものの、神経系の疾患で片麻痺の患者など、一定の疾患の場合には理学療法士等が4日目以降の訪問看護を行う場合もあり得るとした。
 これに対し、松本氏は、「片麻痺など、特殊な場合には、4日目以降の訪問看護が必要なことは理解するが、その場合にも医師が指示を出すことが必要」と返答。
 健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、現行の訪問看護療養費自体が、看護師、保健師、理学療法士など職種を問わず、同一の点数となっていることを問題視、「訪問する職種によって実施する処置は異なる。一括りにしていいのか。しっかりと分けて点数設定すべき」と提案。「適正化のために、誰が、どのくらいの頻度で訪問するかについて、訪問看護指示書で医師が指示することが必要ではないか。今は、訪問看護ステーションの裁量に委ねられているのが問題」(幸野氏)。
 日本医師会副会長の今村聡氏は、現状でも訪問看護指示書で、訪問看護を行う職種や頻度について、ある程度の指示を行っていると説明。患者の病状や訪問看護ステーションの体制等によって、指示通りにはいかないケースもあり、医師とステーション双方のやり取りの中で判断しているとした。
 日本看護協会常任理事の吉川久美子氏も、「訪問看護の実施に当たって、看護職として、医師との連携の下、患者の状態に合わせて、訪問看護を行っていることに理解してもらいたい」と理解を求めた。

精神科訪問看護にGAF尺度による評価導入
 訪問看護は近年、利用者数が増加。利用者の主傷病は「精神および行動の障害」、「神経系の疾患」、「悪性新生物」のほか、医療的なケアを必要とする小児も増えている。提供側を見ると、訪問看護を行う医療機関はほぼ頭打ちである一方、訪問看護ステーションは徐々に増え、特に2012年以降の伸びが大きく、大規模化が進んでいる。訪問看護ステーションの開設者は営利法人の伸びが著しく、4割強を占める。
 訪問看護をめぐる課題の一つが、24時間対応、ターミナルケア、重症者の受け入れなどを行う大規模ステーションの増加、その機能の強化。2018年度診療報酬改定では、訪問看護療養費に、従来の「機能強化型1」(常勤職員7人以上)と「機能強化型2」(同5人以上)に加え、「機能強化型3」(同4人以上)が新設された。
 厚労省が示した改定案には、従来にはない考え方がある。精神科訪問看護への 「機能の全体的評定(GAF)尺度」による評価の実施だ。松本氏は、「GAFの活用も必要だが、それが現場の負担にならないように注意すべき」と述べた上で、精神科訪問看護が増えている訪問看護ステーションから導入すべきであり、医療機関からの訪問看護については別に考えるべきとした。
 全国健康保険協会理事の吉森俊和氏も、GAF尺度による評価は支持、そこから得られたデータを分析し、次の改定につなげる必要性を指摘した。
 訪問看護に関する厚労省の改定案は以下の通り。

訪問看護に関する論点
◆訪問看護の提供体制に係る論点
○ 機能強化型訪問看護管理療養費は、重症患者の受け入れ等を要件とするものであり、より手厚い看護提供体制を評価する観点から、看護職員の割合を要件に加えることとしてはどうか。また、医療従事者の働き方の観点から、一部の職員については常勤換算により満たせることとしてはどうか。また、医療機関における在宅患者訪問看護・指導について、実績要件を加味した評価の在り方をどのように考えるか。
○ 同一建物居住者に対する訪問看護が増えている実態を踏まえて、複数名訪問看護加算および難病等複数回訪問加算等についても、同一建物居住者に係る考え方を導入することとしてはどうか。
○ 理学療法士等による訪問看護と看護職員による訪問看護の提供内容の違いを加味して、理学療法士等による週4日目以降の訪問看護の評価の在り方についてどのように考えるか。また、訪問看護計画書及び報告書に、訪問する職種の記載をすることとしてはどうか。

◆利用者のニーズへの対応に係る論点
○ 専門性の高い看護師による同行訪問の対象に、皮膚障害以外の適切な看護ケアが必要なストーマ合併症を含めてはどうか。
○ 精神科訪問看護について、利用者の状態把握のために、他の診療報酬項目でも用いられているGAF尺度による評価を訪問看護記録書、訪問看護報告書、訪問看護療養費明細書に記載することとしてはどうか。また、精神科複数名訪問看護加算について、算定状況や複数名訪問看護加算との要件の違いを踏まえ、複数名訪問の理由を選択式等により具体的に訪問看護指示書に記載することとしてはどうか。
○ 在宅における特定行為の実施にあたり支給する医療材料について、必要なものについては算定可能な材料に含めることを検討してはどうか。

◆関係機関等との連携に係る論点
○医療的ケア児や小児に係る情報提供について、関係機関との連携を推進するために、訪問看護情報提供療養費1について15歳未満の利用者を対象に含めるとともに、訪問看護情報提供療養費2について入学時等に限らず年1回算定可能とし、保育所及び幼稚園も情報提供先に含めてはどうか。
○ 看護小規模多機能型居宅介護事業所の宿泊サービスを利用中の者への訪問診療および訪問看護について、退院直後に限り、当該サービス利用前の訪問診療や訪問看護の実施の有無にかかわらず、在宅患者訪問診療料や訪問看護基本療養費を算定可能としてはどうか。

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