【大阪】子どもホスピス、希望手探り 寄付頼み、年1000万円赤字 大阪・鶴見
毎日新聞 2019年11月15日
小児がんや難病の子を支援する「TSURUMIこどもホスピス」(大阪市鶴見区)が経営上の岐路を迎えている。2016年4月、大阪市立総合医療センターの医師らが中心となり、病院を併設しない国内初の子どもホスピスとして花博記念公園鶴見緑地内にオープン。3年を経て大手企業などの支援は終わり、運営主体は今年9月、公益社団法人に。自立は険しく、施設を利用した子どもたちも自発的に寄付に取り組んでおり、幅広い支援を呼び掛けている。
◇難病の子ら支え
「ホスピス」は一般に、治癒の見込めない患者が苦痛を軽減させながら余生を過ごす施設。一方、ここは治療や介護とは一線を画し、重い病気で入院中の子どもや退院後間もない子どもたちが、家族らと思い思いの時間を過ごすのが目的だ。看護師や保育士、理学療法士ら専門スタッフがそろうが、決まった支援メニューはない。「チョコフォンデュがしたい」「愛犬と遊びたい」といった要望から、「水遊び」や「ピクニック」まで、主治医と連携して、子どもの希望に最大限寄り添う。
施設を運営する「こどものホスピスプロジェクト」によると、建設費と、運営が軌道に乗るまでの3年間は、日本財団と衣料品大手・ユニクロの支援を受けた。今年度から自立し、人件費や施設の維持管理に年間約5500万円必要だが、利用料や宿泊費は無料。行政の補助もなく、収入は個人・団体の寄付金と事業などに限られ、年約1000万円の赤字で、積立金を取り崩している。
◇親にも貴重な場
病気を克服して日常に戻る子がいる一方、亡くなる命もある。ホスピスは、利用者が限りある時間を「深く生きる」だけでなく、残された遺族が我が子と過ごした時間を振り返る場にもなっている。安定した経営で「存在し続ける」使命があるといい、水谷綾・ゼネラルマネジャーは「行政の補助を受けず、診療報酬制度にも縛られない分、サービスの自由度は大きいが、運営面では皆さんの理解と支援が必要」と話す。
部屋の天井からつるされた大きな赤いブランコ――。揺られてはしゃいでいた女児(6)は、小児がんの一種、神経芽腫の再発で半年間の治療を終えたばかりだ。母親(42)は「免疫力が弱く、髪が抜けて見た目も気になるので外には行けないが、ここでは思い切り遊べる」と走り回る娘の姿に目を細める。
黄色いヒヨコのぬいぐるみで「宝探しゲーム」を楽しんだ小学3年の女児(8)は、急性リンパ性白血病で一時退院中。治療は今後も続くという。母親(42)は「絶対に無理だと思っていた水遊びもかなった。親が相談に乗ってもらったり、イベントで同じ病気の家族と知り合ったり、とても貴重な場」と語る。
◇元利用者も活動
10歳で脳腫瘍の一種、髄芽腫を患い昨年3月に退院した奈良市の中学1年、久保向日葵(ひまり)さん(13)は、地元の祭りやホスピスのイベントでレモネードを売り、収益を寄付している。入院生活を通じて看護師になる夢を抱いたが、同じ病棟の友人の死に「今できることがしたい」との思いが募り、米国で小児がんと闘う少女が始めた「レモネードスタンド」運動に共感。バレエ教室で一緒だった友人の小学6年、源甲斐爽良(げんかいさら)さん(11)とボランティアで始めた。
病気で頭髪を失った子に髪を寄付するヘアドネーションにも取り組む源甲斐さんは「同じような病気で苦しんでいる人の役に立ちたい」。久保さんは「ホスピスは私たちにとってかけがえのない場所。でも、こういう施設に来られる子は、ほんの一部。病気やホスピスのことを知ってもらい、もっとたくさん、いろんなところに作ってほしい」と願う。
寄付は、郵便振替で公益社団法人こどものホスピスプロジェクト(口座番号00930―2―275772、税制優遇あり)または、電話でTSURUMIこどもホスピス(06・6991・9135)へ。
仲間募集中
週1回1時間から働ける柔軟で明るい職場で、子育てママや社会人学生も在籍。
すぐに考えていないけれど、少しでも御関心があれば、とりあえず雑談させて下さいませ。