「かかりつけ医」制、機能せず 初診料加算 患者6割で「二重払い」
東京新聞 2019年8月23日
診療所や中小病院の「かかりつけ医」制度の充実を図ろうと、昨年四月に導入された初診料の「機能強化加算」(八十点・八百円)について、健康保険組合連合会(健保連)が患者の受診状況を調べたところ、制度の趣旨に反して患者の約六割が二つ以上のかかりつけ医療機関を受診し、そのたびに八百円を加算されていたことが分かった。加算額は全体で二百億円規模に上るとみられ、健保連は「加算は、かかりつけ医制度の機能強化になっていない」と批判している。 (藤川大樹)
機能強化加算は診療所や二百床未満の病院が対象。夜間・休日でも患者の相談に応じるなど一定の基準を満たせば、二千八百二十円の初診料(成人が平日の日中に受診した場合)に加算される。加算を受ける医療機関は全国に約一万三千八百施設ある。
健保連は大企業を中心に百二十一の健保組合の協力で、千三百九十一万人の加入者が一八年四~九月の半年間に受診した約三千五百万件のレセプト(診療報酬明細書)を分析した。
その結果、患者の58%が二つ以上のかかりつけ医療機関で、機能強化加算の八百円を加算されていた。半年間に十一回、加算された患者もいた。また、57%が半年間に一回しか受診していなかった。
傷病名別では、急性気管支炎や急性上気道炎などのかぜ症候群が多く、継続的な診療や健康管理が必要な高血圧症や糖尿病、脂質異常症はそれぞれ1~3%だった。
健保連によると、今回分析した百二十一組合分の加算額は十一億六千万円。これを全組合(組合員約三千万人)の一年分で換算すると四十九億五千万円となる。国民健康保険や全国健康保険協会の組合員も含めると、推定で二百億円規模と見込まれる。
健保連の幸野庄司(こうのしょうじ)理事は「初診料の機能強化加算は、生活習慣病など継続的な治療や健康管理が必要な患者に限り認めるべきだ」と指摘している。
<かかりつけ医> 病気や体調不良の際、患者がいつもかかる医師。健康相談に応じ、初期診療や生活習慣病を継続的に診療する。昨年4月から導入された機能強化加算は、患者にかかりつけ医にする意思がなくても、初診料に上乗せされる。
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