企業や大学と連携し、会員のサービス導入支援へ  老施協、第1弾は腰痛アプリ

Medifax digest 2019年8月19日

 全国老人福祉施設協議会(老施協)は、企業や大学などと連携して介護業界が抱える課題解決につながるサービスの開発に乗り出す。人材確保や離職防止、ICT技術の活用による業務効率化といったテーマごとに独自の技術を持つパートナーを探り、共同開発や実証研究への協力を通じて会員へのサービス導入を支援する。将来的には連携強化に向けた体制の整備も視野に入れる。
 第1弾として実証研究への協力を始めたのが、ウェブアプリ「ポケットセラピスト」。介護離職の理由として離職者のおよそ7人に1人が挙げる腰痛の予防や改善につなげることを目的としたアプリで、ヘルスケア事業を営むバックテック(京都市、福谷直人社長)が開発した。老施協は8月末までアプリを利用する会員を募り、今年度末までの実証研究への協力を通じてアプリの効果を見極める。

ポケットセラピストのイメージ図
 同アプリは、日々の活動量や腰の痛みを記録して病院の受診が必要であるといった腰痛のリスクを分類し、動画を通じて理学療法士が腰痛の改善につながる運動療法をオーダーメードで指南する。バックテックが神戸大などと実施した検証によると、年齢の中央値が47歳となる介護職員約20人では、腰痛の最も強い痛みの程度が有意に改善するなど、利用者の症状に改善傾向が見られたという。
 老施協では、これまで会員に対して介護リフトの利点を紹介するなどハード対策の支援に力を入れてきたが、会員の施設で働く職員一人一人まできめ細かく対応するソフト対策の支援に取り組むのは今回が初めて。老施協では「腰痛は業務遂行が難しくなるという点で、離職者が介護業界自体から退出する可能性があるという意味で損失が大きい。こうした業界の課題に対応するため、これに限らず提携を進めていきたい」としている。

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