看護師が自律的に判断できる範囲の拡大など提言 日看協、ナース・プラクティショナー制度創設も
キャリアブレイン 2019年07月26日
日本看護協会(日看協)は26日、厚生労働省の「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフティングに関するヒアリング」で、医師から看護師への業務の移管を進めるため、全ての看護師が判断できる範囲の拡大などを提言した。その取り組みとして、医師から指示を受けなくても一定レベルの診断や治療などを行える看護師「ナース・プラクティショナー」(NP、仮称)の制度を創設し、NPによる医療提供が可能な体制づくりの必要性を強調した。
日看協の秋山智弥副会長は、医師から看護師へのタスク・シフティングの推進策として、「看護師が判断可能な範囲の拡大」と「特定行為研修制度の活用の推進」の2つを挙げた。
このうち、看護師が判断可能な範囲の拡大については、医師からの指示がなくても看護師が患者の状態を見極め、医師があらかじめ指示した状態像に当てはまるかを判断した上で、必要な検査を代行できるよう提案した。この仕組みにより、患者のいる現場に医師が到着した時には検査の結果が出ていることから、すぐに治療を始められるメリットがあると主張。医師が外来診療や手術などを中断して看護師に指示を出さなくても迅速な検査の実施も期待できるとした。
また、医師の指示がなければ看護師は薬剤を使用できない現在の仕組みを改め、看護師が薬剤を用いた療養上の世話をタイムリーに行えるようにすべきだと訴えた。
さらに、高齢化の進展で医療ニーズが増える中、医師が全ての医療提供の判断や指示、対応をする仕組みのままでは、医師の業務量がさらに増加して患者への迅速な対応が困難になると指摘。NP制度の創設の重要性を強調した。
日看協は、NPによる医療提供が実現した場合の期待される効果として、▽在宅の慢性疾患の管理などを看護師にシフトできる▽医師が不在時に患者に対して迅速な対応が可能となる▽医師の業務負担が軽減される―ことなどを挙げている。
NP制度の創設を巡っては、日看協は以前から、米国などのように日本国内でもNPが医療現場で活動できるような仕組みづくりを求めているが、日本医師会はそれに強く反対している。日看協は7月4日、制度の創設に向けた検討の場を設けるよう厚労省に要望した。
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