高齢者独居率に地域差 2040年、最大1・4倍 孤立防ぐ仕組み急務

共同通信  2019年6月3日
 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、世帯主が65歳以上の高齢者世帯のうち、1人暮らしが占める割合(独居率)は2040年に最も高い東京と最も低い山形で1・4倍の地域差が出た。将来的には全国で増加が避けられず、孤立を防ぐ仕組み作りなど社会全体の備えが急がれる。 同研究所が15年から40年までの状況を5年ごとに算出。高齢者世帯の独居率は40年に全国平均で40・0%となり、15都道府県では40%以上に上昇。トップの東京(45・8%)と最も低い山形(31・6%)では15ポイント近い開きがあった。都道府県別の「日本の世帯数の将来推計」で4月に示した。 農業が盛んな山形県。県の担当者は「県内は昔ながらの三世代同居が多いからではないか」と分析する。15年の三世代同居率は17・8%と全国1位。大家族なら配偶者と死別や離別をしても1人暮らしになりにくい。県も「三世代同居は介護だけでなく家事育児でも支え合えるメリットがある」として住宅リフォーム補助などで後押しする。 山形を含め独居率が30%台前半にとどまる8県は「全国の中でも1世帯あたりの人数が多い」(富山)「家族で暮らして地域づきあいをする文化が根付いている」(佐賀)などが特徴という。 一方、東京や大阪(45・4%)など都市部では高齢者の独居率の高さが目立つ。背景には未婚率の上昇がある。50歳までに1回も結婚をしたことがない人の割合(生涯未婚率)は35年に全国平均で男性30%、女性20%に迫るとされ、都市部は特に高い傾向にある。 独居率が44・8%で東京、大阪に続いて高い高知県の担当者は「高齢化率が全国トップクラスで家族が県外で暮らす世帯も多い。配偶者と死別すると1人暮らしになりがちだ」と説明する。 みずほ情報総研の藤森克彦(ふじもり・かつひこ)主席研究員は「都市部、地方部を問わず、ライフスタイルの多様化で、今後未婚化や核家族化の流れはさらに進んでいく」と指摘。「未婚の場合、家族介護は難しい。社会的な孤立を防ぐために、支え合える地域づくりを進め、介護などの社会保障を強化する必要がある」としている。
 ※日本の世帯数の将来推計 国立社会保障・人口問題研究所が国勢調査を基に推計。2015年と人口の多い「団塊ジュニア」が65歳以上の高齢者となる40年を比較すると、全国の世帯総数は5333万世帯から5076万世帯に減少するが、高齢者世帯は16・9%増の2242万世帯となり半数に迫る。高齢者世帯のうち1人暮らしの割合は15年の625万世帯から40年は896万世帯に増加し、高齢者世帯に占める割合も32・6%から40・0%まで上昇。全都道府県で30%を超える。

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