【長野】松本市医師会、患者の「事前指示書」用紙を作成

中日新聞  2019年5月8日
 長野県松本市医師会や同市などは、病気や大けがで回復の見込みがなくなった後の医療措置について、患者が希望する内容をあらかじめ家族らと相談して書面にする「リビングウイル(事前指示書)」のオリジナル用紙を作成した。望まない延命医療などを避け、最期を自分らしく迎えられる支援をする狙い。同医師会の担当者は「普段から万が一の時への対応を、家族や掛かり付け医らと話し合っておいて」と呼び掛けている。 延命治療では、のどにチューブを差し込む人工呼吸器や腹部に穴を開けて栄養補給する胃ろうなどを行うことで、回復が望めなくても命を永らえさせられる場合がある。 しかし、同医師会によると、「治らないなら自然のままの体でいたい」「延命で家族に負担をかけたくない」などの理由で延命治療を望まない人もおり、意識喪失などの場合は意思確認ができずに望まない措置を選んでしまう場合がある。 リビングウイルはこれを防ぐ目的で、国は30年ほど前から普及に取り組んでいるが進んでいない。今回の用紙は、市の民生委員や町会関係者らも参加し、県のモデル事業として取り組んだ。 用紙は、A4判とお薬手帳に挟める携帯版の2種類があり、人工呼吸器や胃ろう、最期に過ごしたい場所などの希望を書き込める。掛かり付け医や用紙に記入した以外の治療についての代理判断者の署名欄も設け、日常的に延命治療などについて話し合ってもらえるように工夫した。 同医師会の岡村律子医療・介護コーディネーターは「人生の終わりは誰にでも訪れる。最期について考えると今後の生き方も変わる。ぜひ考えてみてほしい」と話している。 用紙は7日から、市内の病院や薬局のほか、同医師会や市高齢福祉課などの担当窓口で無料配布している。

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