休業・廃業は倒産の10倍、深刻化する医療機関の経営

日刊工業新聞
 2018年度(18年4月―19年3月)の医療機関の倒産データがまとまった。倒産件数(法的整理)は病院4件、診療所19件、歯科医院16件の計39件。負債総額は165億5600万円となった。2000年度以降の19年間でみると、件数は09年度(45件)、10年度(43件)、07、08年度(各39件)に次ぐ5番目。負債総額は14番目の水準だった。 負債額が最も大きかったのは「磐城中央病院」や「小名浜中央病院」を経営している医療法人翔洋会(負債61億6400万円、福島県、民事再生法)で、以下、医療法人社団大森会(同28億2500万円、熊本県、民事再生法)、医療法人天貴会(同10億5800万円、民事再生法、栃木県)と続いた。翔洋会の負債額は2000年度以降の医療機関倒産のなかで9番目の規模で、東北エリアの医療機関倒産としては過去最大級。 そのほか、39件を負債額別にみると、「1億円未満」と「1億―10億円未満」がそれぞれ18件(各構成比46・2%)となったほか、態様別では「破産」が32件(構成比82・1%)、「民事再生法」が7件(同17・9%)。 所在地別では「大阪府」(5件)、「福岡県」(4件)、「愛知県」(3件)、「東京都」「北海道」「神奈川県」「京都府」「岐阜県」「山口県」「熊本県」(各2件)の順となり、業歴別では「30年以上」が11件(構成比28・2%)、「10年未満」が12件(同30・8%)を占める結果となった。 ちなみに18年1―12月に休業・廃業・解散に至った医療機関(法人、個人含む)は、400件あったことが判明。2000年以降では17年(404件)に次ぐ高水準となり、18年度の倒産件数の約10倍の件数となっている。400件の内訳は「病院」が27件、「診療所」が305件、「歯科医院」が68件となり、診療所の件数が2000年以降で最多、歯科医院が2番目の多さとなっている。 各都道府県における事業者数に対する休業・廃業・解散の比率は地方ほど高い数値を示しており、経営者の高齢化・後継者不足のみならず、将来的な人口動態に伴う患者不足(収入減)を主因とした医療機関の休業・廃業・解散は、今後さらに増加していく可能性がある。

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