誤嚥性肺炎を減らした特養ホーム 効果出た口腔ケア

朝日新聞 2019年4月7日
 高齢者の死因で上位を占める誤嚥(ごえん)性肺炎に対して福岡市の特別養護老人ホームが施す予防の取り組みが成果を上げ、注目されている。肺炎で苦しむ人が減り、施設の収入は増え、医療費の削減にもつながった取り組みの秘密とは――。
誤嚥性肺炎の予防とケア 全身の体力維持して長生きを 誤嚥性肺炎は、雑菌まじりの唾液(だえき)が肺の中に入ることで起きる。厚生労働省の人口動態調査(2017年)によると、肺炎は85~89歳の死因で3番目に多いほか、65歳以上のいずれでも5番以内に入る。その多くが誤嚥性とみられる。 口内の雑菌を減らす、誤嚥しないように飲み下す機能を維持するといった口腔(こうくう)ケアが予防として有効だ。 福岡市西区の特別養護老人ホーム「マナハウス」(69床)は17年9月から、「誤嚥性肺炎ゼロプロジェクト」に取り組む。 1日3回の歯磨きとは別に介護職員が週2回、入居者に口腔ケアを施す。1回につき10分以内で歯ブラシやスポンジブラシを使って食べかすや舌の汚れを除去し、両手で口の中などをマッサージする。入居する女性(91)は「口の中がさっぱりします。よくかめるようになりました」と喜ぶ。 「正直ここまで効果があるとは思いませんでした」と施設長の小金丸誠さん(45)は振り返る。 導入する前の1年間で入居者が病気やけがで入院した日数は1310日。そのうち肺炎によるものが545日だったが、導入後は144日に激減。全体の入院日数も459日に減った。ケアによって食べる力が回復し、栄養状態が良くなったためではないかと見ている。 入院期間は介護報酬が入らないので日数が減れば施設には増収になる。1人につき1日で1万4千円として年間約1200万円だ。また、入院医療費を1日5万円として計算すると医療費は約4250万円の削減となった。 口腔ケアはほかの施設でも実施されているが、マナハウスは職員の意識を高め、継続的に取り組んでいることが成果を高めているとされる。 導入に際し、口腔ケアに関心が高い職員によるチームをつくり先行して学習。やり方や有効性を職員同士で広めた。半年をかけて介護職員約40人全員に歯科衛生士による研修を受けさせた。現在も週1回、改善点などを指導されている。 その際に使われるのが、海外の研究者が開発し、藤田医科大が日本語版を作成した評価シート「OHAT(オーハット)」だ。口腔清掃や歯肉・粘膜、唾液など8項目について3段階(健全=0、やや不良=1、病的=2)で評価して総合点を算出する。小金丸さんは「努力が『見える化』されるので職員の励みになり、離職率も下がった」と分析する。増収分の一部を職員の賞与に上乗せもした。 約3600の介護老人保健施設が加盟する全国老人保健施設協会が昨年10月に開いた研究発表会議の口腔ケア部門でマナハウスの取り組みは最優秀賞に選ばれた。徳島文理大の中江弘美講師(口腔保健学)は「質の高いケアを提供できる体制を確立した」と評価する。 このプロジェクトの導入を働きかけたのが福岡市の歯科医師瀧内博也さん(36)。福岡歯科大高齢者歯科で助教をしていたとき高齢者の肺炎の多さに驚いた。口腔ケアが予防に有効だと知り、それを広めようと大学をやめて起業した。介護施設を対象にしたセミナー開催、専用器具の供給などで導入を支援する。「まず肺炎を防いで入居者の命を守る。それが職員、施設、健保財政にもプラスになる」と話している。

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