病院から訪問看護STへ看護師が在籍型出向 出向元の退院支援機能向上に期待

キャリアブレイン 2018年04月24日

日本看護協会(日看協)は、地域包括ケアシステムにおける訪問看護の新たな人材確保・活用に関する調査研究事業(2017年度老人保健健康増進等事業)として、「訪問看護出向事業ガイドライン」を公表した。病院看護師が、地域の訪問看護ステーションに2-6カ月間出向して訪問看護に従事するモデル事業を15―16年度に行い、そこで明らかになった課題と成果に基づいてガイドラインに反映させた。
「訪問看護出向事業」は、病院看護師が一定期間、自病院に在籍したまま地域の訪問看護ステーションに出向し、訪問看護に従事しながら在宅療養支援能力の向上を図る事業。出向者が同行訪問の実践を通じて訪問看護に必要な知識・スキルを習得し、最終的には一人で訪問してケアを実施し、訪問の記録などの業務も含めて、独り立ちするまでの期間を対象としている。出向元の病院と看護師にとっては自病院の看護や退院支援機能の強化を、出向先の訪問看護ステーションにとっては多彩な人材の育成力の向上を見込める。
ガイドラインは、訪問看護出向事業の基本的な考え方をまとめた基本編と、出向実施に向けた具体的な取り組みをまとめた実践編で構成。出向には在籍型と移籍型(転職)があり、基本編によると、モデル事業では、病院・訪問看護ステーション双方と労働契約を結び、訪問看護ステーションの業務に一定期間従事する在籍型で対応した。
在籍型出向では、日常の労務提供の基本部分に出向先の労働条件を適用するのが基本だが、賃金の支払いや負担割合で労働条件の低下を避けるため、出向先の賃金水準が低い場合、給与全額を出向元が出向者にいったん支払い、出向先での労務相当分を、出向先が出向元へ支払う形を取った。それぞれの権利や義務は、出向元と出向先との契約の中で取り決めるもので、法律上の制限はないが、出向中の事故や損害発生に備えるよう呼び掛けた。
都道府県などの事業として行う場合は、病院と訪問看護ステーションをつなぐ第三者のコーディネーターが介在することで調整がスムーズになるとしている。モデル事業では、都道府県看護協会、大学(在宅看護学)の看護教員にコーディネーターを委託した。

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