訪問介護職員、半数がハラスメント被害 セクハラなど 厚労省委託調査

毎日新聞2019年3月24日
 介護現場で働く人を対象にした厚生労働省の委託調査で、サービス利用者からセクハラや身体・精神的暴力のハラスメント被害を受けた経験がある人が、訪問介護職員の半数に上った。利用者の家族からの被害も17%の職員が経験しており、深刻な被害が浮き彫りとなった。介護現場のハラスメント実態に関し、厚労省は初めて大規模調査した。 訪問介護は女性ヘルパーが1人で利用者宅を訪ねることが多く、施設より密室性が高い。人手不足で待遇改善が求められる介護現場にとってハラスメント対策は急務だ。厚労省は事業者向けマニュアルを近くまとめ、現場への周知を図る。 調査は民間シンクタンクに委託し2月に実施。訪問介護のほかデイサービス、施設など全国の2155事業所と職員1万112人が回答した。ハラスメントの類型を(1)不要な体への接触や性的発言などのセクハラ(2)物を投げつけるなど身体的暴力(3)攻撃的な態度や大声、人格・能力の否定などの精神的暴力――に分けた。 2532人が回答した訪問介護では、50%がこれまで利用者からハラスメントを受けていた。昨年の被害を類型別(複数回答)に見ると、精神的暴力81%、身体的暴力42%、セクハラ37%。家族からのハラスメントでも精神的暴力が最多だった。発生の原因について、43%が答えた「利用者・家族がサービスの範囲を理解していない」が最多。「職員の仕事の意義や価値が低くみられている」(39%)との回答も目立った。 この3年間のハラスメントの増減を尋ねると、事業所管理者では「減っている」の方が多い一方、職員側は「増えている」の方が多く、認識の違いが鮮明となった。
訪問介護 ホームヘルパーや介護福祉士が利用者の自宅を訪問し、日常生活を支援する介護保険サービス。2017年度の利用者は全国で約146万人。排せつや入浴、食事の介助など利用者に直接触れる「身体介護」、掃除や調理、洗濯といった「生活援助」のほか、「通院介助」がある。利用者の自己負担は1~3割。ハラスメント被害防止には複数職員での訪問が望ましいが、2人で訪問すると自己負担も2倍となるため、利用者の理解が得にくいといった指摘もある。

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