ALS:患者支援 「氷水かぶり」のぬくもり 続く寄付、進む新薬開発
毎日新聞 2019年2月17日
難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者支援のため2014年の夏、動画投稿サイトを中心に盛り上がった「アイス・バケット・チャレンジ(IBC)」運動。批判もあり、やがて下火になったものの寄付は細々と続き、2月下旬には寄付金を生かした研究が新薬候補を患者に投与する段階まで進むという。爆発的ブームの「その後」と、関係者の思いとは。 「勇気づけられた」。東京都内で2日、一般社団法人日本ALS協会が開いた講演会。自身も患者の嶋守恵之(しげゆき)会長(51)が、介助者の代読でIBCの寄付金の使い道を報告し、研究が進展する今の心境を語った。 ALSは全身の筋肉が動かなくなる難病で今は根本的な治療法がなく、国内の患者は約1万人とされる。患者や家族らを支援するIBCは米国で始まり、瞬く間に世界中に広がった。支援団体に寄付するか、氷水をかぶる映像を投稿するか、両方をやるか――を選択し、次の人を指名するルールで、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏ら著名人も多数参加。日本でもIT経営者や政治家、ゆるキャラまで氷水をかぶった。 協会には問い合わせの電話が鳴りやまず、IBCによる寄付の専用口座を急いで設定。14年8月~15年3月の寄付額は3792万2366円に達した。 だが、すぐに「参加者の売名行為」「悪ふざけ」との反応も現れ、協会が14年9月、会見し「寄付は強制ではない。健康を害することはしないで」と呼びかける事態に発展。ブームは去ったが、IBC経由の寄付は、15年度25万440円▽16年度28万150円▽17年度5万4100円▽18年度1万円(1月末まで)――と少額ながら続いている。 協会によると、寄付金で患者のQOL(生活の質)向上の活動を支援しているほか、治療法開発の研究への奨励金として15年度から3年間、各年度3チームに300万円ずつ助成した。 その一つが、新薬候補を探す慶応大のチームで、患者自身のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から神経細胞を作り、病気を再現。近く実際に患者への候補薬の投与を始める。責任者の岡野栄之教授はIBCについて「一般からの寄付は、大きなモチベーションだった」と振り返る。 IBCは患者の励みにもなった。札幌市の山田洋平さん(41)は「寄付のおかげで研究が進み、治る日がそう遠くないと実感することができている」と寄せられた「善意」に感謝する。 協会は「これからもいろんな形で患者や家族を応援してほしい」と話している。
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