[外国人材@日本]ベトナム人材 争奪戦

読売新聞 2018年12月7日

日本向けの人材育成施設を訪問した森田知事(左)(ベトナム・ホーチミン市で)
 政府が目指す来春からの外国人労働者の受け入れ拡大をにらみ、ベトナム人を巡る自治体の争奪戦が熱を帯びている。ベトナム人需要が急増するあまり、悪質な送り出し業者などが介在し、来日後の失踪や犯罪につながるなど、課題も浮き彫りになっている。

介護に必要 自治体躍起
 「国の方針が決まってからでは遅い」――。
 森田健作・千葉県知事は11月18~21日、ベトナム・ホーチミン市を訪れた。目的は、技能実習生や留学生らを昨年1500人近く送り出した日本向けの人材育成施設の視察。外国人労働者の受け入れ拡大が実現する前に、不足する介護人材の確保に道筋をつけるためだ。「千葉で安心して働いてもらえるよう支援したい」。森田知事が家賃補助などを表明し、同県に人材を派遣するよう求めたのに対し、施設を運営するレ・ロン・ソン社長(48)は「支援策が具体的になれば頑張りたい」と応じた。
 高齢者人口が多い首都圏で介護の人材不足は深刻だ。厚生労働省は東京、神奈川、埼玉、千葉の4都県で2025年度に10万215人が不足すると試算する。横浜市は7月、ホーチミン、ダナン両市などに市幹部を派遣し、介護人材の確保に協力を得るための覚書を締結。人材の活用や育成に関する政府や市との覚書は埼玉、群馬、愛知県なども結んでいる。
 国内で働く外国人のうち、中国に次いで多いベトナムは17年に24万人と、5年前の9倍に増えた(厚労省調べ)。本国の賃金が上昇してきた中国人に代わる存在として需要が高まっており、ベトナム政府側も外貨稼ぎの有力な手段として送り出しを積極的に後押ししている。森田知事は「企業ではベトナム人は日本人に似て勤勉、誠実で努力家だと評判」と話す。

失踪、犯罪懸念も
 半面、ベトナム人を巡っては17年、技能実習生の失踪者数(法務省調べ)が3751人、犯罪検挙件数(警察庁調べ)が5140件と、いずれも国別で最も多い。実際、留学ビザなどで13、14年に来日し、失踪したベトナム人の男2人が、福島、茨城県の量販店で約60万円相当の万引きをしたとして12月までに逮捕、起訴された。福島県警の調べに「換金して借金返済などに使った」と供述している。
 背景には、悪質な送り出し業者が暗躍し、多額の借金を背負って来日する技能実習生や留学生が多いことが挙げられる。現地の業者が実習生らから得る手数料は、国内のルールで3600ドル(3年契約)が上限だが、ある業者は「2000ドルほど上乗せしている」と打ち明ける。証拠を残さないため、いったん渡した手数料の領収書を実習生らの出国前に回収するという。

悪質な仲介業者 排除を
 公益財団法人・日本国際交流センターの毛受めんじゅ敏浩執行理事の話「日本の外国人労働者の扱いは、賃金が安い国から順に使い捨てている状況だ。受け入れ態勢を整えないまま各国の労働者を使い回すのは、外交上も問題になりかねない。国は悪質な仲介業者の排除を進め、自治体は外国人労働者が地域に溶け込めるよう施策を進めてほしい」

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