アドバンス・ケア・プランニング(ACP)、我が国では「人生会議」と呼んでは―厚労省

MedWatch 2018年12月3日
 自分が人生の最終段階にどういった医療・ケアを受けたいかを、医療従事者や家族・友人と繰り返し話し合う「ACP」(Advanced Care Planning)の普及に向けて、我が国では「人生会議」と呼ぶこととしてはどうか―。
 厚生労働省の「ACP愛称選定委員会」で11月30日に、こういった愛称が決まりました。
 「人生の最終段階にどのような医療・ケアを受けたいか」は人によって異なります。この点、例えば「自宅で家族に見守られて最期を迎えたい、延命治療などはしないでほしい」と考えていても、その考えが家族や医療従事者に共有されていなければ、本人にとって「不本意な医療・ケアが提供される」可能性があります。
 またこの考えは、同じ人であっても、時間の経過とともに変わることが予想されます。
 そこで、国民一人ひとりが「人生の最終段階にどのような医療・ケアを受けたいかを、家族や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合い、可能であれば文書にしておく」ことが重要となります。この話し合いのプロセスがACP(Advanced Care Planning)と呼ばれるものです。
 厚生労働省では「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」を設置し、こうしたACPの取り組みを広く国民全般に周知・普及するために、「ターゲット」を絞って(例えば、高齢者、高齢者の家族、医療従事者・介護従事者など)、それぞれに効果的なPR方策を提示しました(関連記事はこちら)。
 例えば、医療従事者・介護従事者には、患者・利用者とその家族が「人生の最終段階に受けた医療・介護」の話し合いに参加し、専門家としての基礎情報提供やアドバイス(高齢になると身心にどういった変化が生じるのか、それに対し、医療・介護サービスでは何ができるのか、など)を行うという重要な役割が求められます。その際には、厚労省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(新ガイドライン)を十分に踏まえ、また「本人の意思を尊重する」「医療・ケアチームと本人との関係が、上下になってはならない」ことなどに留意する必要があります。ただし、これらの取り組みは、既に医療従事者・介護従事者が現場で実践しているものであることも忘れてはなりません。
 こうしたACPを、医療従事者・介護従事者だけでなく、国民に広く(できれば若者も含めた国民全体に)普及していくことが重要です。そのためには、「馴染みの薄いACPという言葉よりも、国民が親しみやすい言葉で広める」ことも1つの方策になると考えられました(関連記事はこちら)。
 そこで厚労省は、今年(2018年)8-9月にかけて「ACPの愛称」を募集。1073件の候補の中から、聖隷浜松病院の須藤麻友看護師による「人生会議」が採択されました。あわせて11月30日を、人生の最終段階における医療・ケアについて考える「人生会議の日」とすることも決まりました。  
 もっとも人生会議を固く捉える必要はないでしょう。例えば、医療をテーマにしたテレビドラマや映画が人気を博していますが、看取りのシーンなどを見る際に、家族や気の置けない友人と「私が最期を迎えるときは、●●がいいなあ」などと肩ひじを張らずにする会話そのものが、人生会議の始まりと言えるでしょう。
 なお「人生の最終段階のことなど考えたくもない」と思われる人も決して少なくありません。そうした方にまで「大事なことだから」といってACP・人生会議を強制することは好ましくありません。この点にも最大限の留意が必要です。

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