【東京】団地再生~高島平の取り組み~<上>気軽な居場所 高齢者に用意 医療・介護以外の相談可能

読売新聞 2018年10月22日

 高度経済成長期、全国各地に建設された団地の衰退が言われて久しい。住民の高齢化などが共通課題だ。こうした中、団地再生に向けて、注目を集めているのが、東京都板橋区の高島平団地だ。現場を訪ね、2回にわたって取り組みの現状を探る。
 団地の1階部分で週3~4日オープンしている「高島平ココからステーション」。ソファやテーブルが並び、明るい雰囲気で、多くの住民らが、ふらりと顔を出す。
 独り暮らしする認知症の女性(83)もその一人。届いた郵便物の内容について聞いたり、思い出話をしにきたりするという。長年、夫と2人で暮らしてきたが昨秋、夫が急死。子どもはおらず、親族は離れて暮らしている。女性の自宅を同ステーションのスタッフが訪れ、信頼関係を築いたことで出向くようになった。スタッフは冷蔵庫に食べ物がなければ買い物を手伝うこともある。
 同ステーションは昨年オープンし、東京都健康長寿医療センターが運営している。認知症になっても暮らしやすい街の拠点づくりが目的で、団地を管理する都市再生機構(UR)と板橋区が設置に協力した。誰でも参加できる居場所だが、保健師らが常駐し、世間話をしながら、さりげなく相談にも乗っている。
 団地には、介護保険サービスの相談窓口になっている地域包括支援センターや、看護師らが医療の相談に乗ってくれる拠点もある。ただ、介護や医療を受ける状況ではないが、様々な不安を抱える人も少なくない。同ステーションは、こうした悩みに応え、制度の隙間を埋める居場所という位置づけだ。
 東京都健康長寿医療センターの小川まどか研究員は「何もなくても来られることが大事。気軽に相談もできる居場所があれば、家族がいない独り暮らしの高齢者も暮らしやすいはず」と語る。
 一方、人を呼び込むユニークな取り組みもある。
 同団地内の1棟のうち、空き室42戸分を改修し、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「ゆいま~る高島平」として再生させた。2014年12月に開設。隣の棟の1階に事務所があり、日中は、スタッフが常駐している。入居者は、生活相談ができる。運営するのは、株式会社「コミュニティネット」(東京)だ。42戸すべてに入居している。
 サ高住は、安否確認と生活相談の提供が前提で、実際、入居者は毎朝、小型の端末でスタッフに連絡し、安否確認してもらっている。万が一の場合は、警備会社のスタッフが駆けつける。
 独り暮らしする森良子さん(85)は「安心で、自由さもあるところがいい」と話す。入居者同士の交流もあり、趣味のお茶の集まりが楽しみだ。ハウス長の古川才乃さんは「普通の団地にあるからこそ抵抗なく入居しやすい。元気なうちから移り住み、ついの住み家にしてほしい」と話す。

  【高島平団地】  1972年に入居が始まった大規模団地で、「東洋一のマンモス団地」と呼ばれた。計64棟約1万170戸が並ぶ。現在、一帯の高齢化率は約5割に上り、独居高齢者が目立つ。

人気誇った「団地」 高齢化と老朽化
 「団地」は、高度経済成長期に都市に集中した人口の受け皿を確保するため、全国各地に建設された。1955年に設立された日本住宅公団(現・UR)などが開発の主体を担い、計画的な街づくりを展開。地縁のない新しい住民たちによる新しいコミュニティーが築かれた。ダイニングキッチン付きの間取りは目新しく、憧れの的。団地で暮らす人たちは、「団地族」と呼ばれた。
 ただ、最近は、急激な高齢化の波が訪れている。古い間取りや建物をどうするかといった課題も出ている。
 こうした中、URは、団地に介護や医療、生活の拠点を作ることで再生を図ろうとしている。千葉県柏市の豊四季台とよしきだい団地では、東京大とUR、自治体などが連携し、在宅医療システムづくりを進める。愛知県豊明とよあけ市の団地でも、地元の大学と連携し、拠点作りが進む。

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