支える「多様化する担い手」<中>外国人 介護現場で存在感

読売新聞 2018年10月2日

 介護現場で、外国人の存在感が増している。外国との経済連携協定(EPA)に基づき、介護福祉士候補者を受け入れる事業が始まって今年で10年。4000人を超える外国人が来日し、介護現場で働いてきた。

受け入れ事業10年
 ♪上を向いて 歩こう
 JR新横浜駅近くの特別養護老人ホーム「第2新横浜パークサイドホーム」(横浜市港北区)。女性入居者(89)と一緒に、インドネシア人介護職員のリア・ワロカさん(32)が口ずさんだ。日本の歌はスマートフォンの無料動画サイトで覚え、歌詞カードを見ながら女性から漢字を教わった。「いい歌をたくさん覚えました」とほほ笑んだ。
 リアさんは2009年に来日し、働きながら13年に介護福祉士の国家試験に合格した。今は、インドネシア人の夫(35)と昨年12月に生まれた長女と3人で暮らす。
 母国で看護師の資格を取った。父親(58)は肺炎で薬が手放せず、履物を売る仕事を母親(55)が担う。両親は自宅の土地を売って看護学校の学費を賄ってくれた。「日本で介護を学びながら働き、恩返しをしたかった」。合格前は毎月、家族に仕送りし、今は、妹の大学の学費を支える。
 日本語に慣れない当初、日々の業務記録は、いったんメモ用紙に書いて日本人職員に確認してもらい、清書した。辞書を手に先輩が書いた記録を読んでまねた。「工夫をしてだんだん書けるようになり、自信がついた」と言う。
 それから9年。出産前には、職員5人を束ねるリーダーとして介護の方針を決める立場にもなった。今年8月には入居者の体調の変化にいち早く気づき、救急車で病院に搬送したことも。家族から感謝され、「日本人と同じようにプロとして見られていることがうれしかった」と言う。
     ◇
 EPAに基づき、2008年度以降、インドネシア、フィリピン、ベトナムから来日した介護福祉士候補者は4265人。このうち、延べ1596人が国家試験を受け、719人が合格している。
 リアさんの同僚でインドネシア人の介護福祉士、ジュルフィカル・アディ・ウィラワンさん(31)もその一人だ。以前に働いた岐阜県の介護施設では、クリスマス会を開くと聞いて驚いた。イスラム教徒のため、心配して職場の先輩のインドネシア人に相談すると、「歌うだけなので、宗教とは関係ない」と言われ、ホッとしたという。
 当日は、サンタクロースの格好で歌って踊った。入居者の笑顔を見て、アディさんは、「高齢者の心のことまで考え、気分転換をしてもらうのも介護の仕事だと学んだ」と振り返った。
 2人が勤める「第2新横浜パークサイドホーム」では、介護福祉士候補者18人と試験に合格した5人が働く。合格者のうち、3人がリーダーとして介護職員を束ねる仕事をしている。「能力を認めて処遇をしなければ定着しない。『外国人が日本人の下で働いている』というわけではない」と牧野裕子施設長は強調する。
 リアさんは「利用者が安心して暮らせるように、気配りのできる介護職員になりたい。お金をため、将来、インドネシアに大きな家を建てたい」と夢を語った。

 ◆介護福祉士候補者=介護福祉士の資格取得を目指す外国人。原則4年の滞在期間中に、特別養護老人ホームなどで3年以上働きながら勉強し、介護福祉士の国家試験に合格すれば、引き続き日本で就労できる。

経済連携協定以外にも
 外国人を日本の介護現場で受け入れる仕組みは、経済連携協定のほかにもある。
 一つは、2017年9月に創設された「介護」の在留資格だ。留学生として来日し、専門学校などの介護福祉士養成校を卒業して介護福祉士の資格を取得すれば、最長5年間在留できる。繰り返し更新できる。今年度、養成校に入学した外国人留学生は1142人で、前年度(591人)の2倍に急増した。
 もう一つは、外国人技能実習制度。発展途上国などの外国人を対象に、技術を学び、母国の発展に役立ててもらう仕組みで、17年11月、対象となる職種に「介護」が加わった。最長5年間在留できる。実習が認められたのは321人(9月21日現在)。

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