先天性四肢形成不全の子、年400人 東大病院が初推計

朝日新聞 2018年9月30日

 手や足の形状が不完全な状態で生まれる「先天性四肢形成不全症」の子どもが、日本では1年で約400人生まれている――。東京大学医学部付属病院の芳賀信彦教授と藤原清香助教(いずれもリハビリテーション医学)らのグループが今夏、こうした推計結果を海外の医学雑誌に発表した。国内での人数はこれまで不明だった。芳賀教授は「全体像がわかれば、公的支援の充実を求める際の基礎データになる」と話す。
 芳賀教授らのグループは2014~15年、整形外科と小児科、形成外科がある全国約2200の医療機関にアンケートし、不全症の人の初診数を調査。同じ患者が複数の医療機関を受診した場合は1人と数えるなどして、国内での1年間の出生数全体(約100万人)のうち、約400人が不全症だと推計した。6割超が手・腕のみの形成不全とみられるという。こうした全国調査で推計値を算出したのは初めてだという。
 同病院は13年に四肢形成不全外来を開設。主に子どもを対象に、先天性四肢形成不全症を診察してきた。
 芳賀教授らによると、不全症の子はもともと数が少ないとみられていた。また医師が「不全症の程度が軽い」と判断したことで、その後は診療を受けずに成長する事例もあり、人数の把握は難しかったという。
 義手や義足の購入には国や自治体の助成制度があるが、人数の規模が不明なため、購入費や治療費など不全症をめぐるコストの全体像がつかめなかった。国に公費負担の充実を働き掛けるにしても、基礎となるデータがない状態だったという。

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