【静岡】重症心身障害児者 短期預かり施設、県東部2カ所のみ 厳しい設置基準が壁
毎日新聞2018年9月21日
身体と知的でともに重い障害を抱える人(重症心身障害児者)を一時的に預かる施設が、県東部で不足している。家族が利用したくても、利用できない時があるという。短期、長期の入所に対応する「伊豆医療福祉センター」(伊豆の国市)を訪ねると、施設を簡単に増やせない事情が垣間見えた。【垂水友里香】
8月下旬、平屋のセンター入所棟の中央スペース。入所者約30人が車椅子で、過ごしていた。多くの人は動かず、静かに天井を見つめるなどしていた。
昼になると食事の介助のため、入所者1~2人に職員1人が付いた。用意された食事は細かく刻んだもの、すりつぶしたもの、胃ろう用のものなどさまざま。「入所者の症状は一人一人違う。その人の障害の状態に合わせた食事を用意しています」。梶充伸事務長はそう説明してくれた。
重症心身障害児者は、食事や着替えなど生活のほぼ全てで介助が要る。センターには病院と福祉施設の機能があり、入所者と同数の職員(看護師と生活支援員)を配置。常勤2人と非常勤3人の医師が在籍し、当直医も置く。入所者は生活支援や医療的ケアだけでなく、運動や読書など生活の質を高めるための療育も受けられる。
県の2015年のまとめによると、県東部で自宅に暮らす重症心身障害児者は482人。しかし、数日間の短期入所が可能な医療と福祉の総合施設は、県東部だとセンターを含めて2カ所だけだ。
センターの定員は38人。1~49歳の約30人が生活の場として長期入所し、センターは残りの枠で、短期入所者を受け入れている。24時間の介護疲れによる休息や冠婚葬祭などのため、数日間の短期入所を希望する家族は多いが、昨年度は599件の申し込みのうち、約100件は希望時に定員に達しており断らざるを得なかった。
施設が増えないのは、医師や介護士の配置など法律に基づく厳しい設置基準があるためという。梶事務長は「こうした分野を志す医師は少ないため採用が難しく、介護職員は慢性的に不足している。日々、大変な介護をされているご家族を支える施設を維持するのが精いっぱい」と話した。
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