地域医療情報連携ネット、継続的に運⽤するには? ⽇医総研が構築・運⽤⾯での課題を指摘

キャリアブレインマネジメント 2018年09⽉11⽇

 ⽇本医師会総合政策研究機構(⽇医総研)がこのほど公表したワーキングペーパー(WP)によると、全国の地域医療情報連携ネットワークの約4割が、2012年度から16年度までに、何らかの理由で運⽤を中⽌・終了したり、他と統合したりしている。地域全体で住⺠の健康を⾒守るための地域医療情報連携ネットワークを継続的に運⽤するにはどうすればいいのか。WPから、その⼿掛かりを探る。
 ⽇医総研が公表したWPのテーマは、「ICTを利⽤した全国地域医療情報連携ネットワークのケーススタディ」。既存の9つの地域医療情報連携ネットワークを取り上げた上で、その特徴や導⼊・運営に当たっての課題、留意点などを挙げている。

■システム開発経験者の採⽤で整備費などを適正化
 例えば、広島県と広島県医師会が運⽤する「ひろしま医療情報ネットワーク」(HMネット)=図1=の特徴については、地域共通番号カードと情報開⽰カードを参加者(患者)に提供し、厳密な個⼈情報保護の下で診療情報の連携と共有を実現していると紹介している。
 17年2⽉からは、「広島東洋カープ」のデザインの地域共通番号カードを発⾏したところ、1年後に発⾏数が約4倍になるなど、地域性を⽣かした取り組みをしているのも特徴。
 さらに、HMネットの強みは、運⽤担当者として元システムエンジニア(SE)を採⽤していることだ。システム設計・開発の経験者がネットワークづくりに携わることによって、メーカー主導による交渉ではなく、整備費の適正化が図られたという。
 HMネットには、地域の病院31、診療所404、薬局252、介護施設266などが参加し、約9万⼈が登録しているという。

■運⽤費は⾃治体が負担、病院などは無料で利⽤可能
 別の事例では、愛知県の⻑久⼿市医療・介護・福祉ネットワーク運営協議会が運⽤する「愛・ながくて夢ネット」=図2=を取り上げている。
 このネットワークは、地域包括ケアに関係する医療機関や介護事業所などの連携強化に役⽴つ情報共有ツール「電⼦@連絡帳」を基盤としたもので、病院5(市内2、市外3)、診療所36(市内31、市外5)、薬局9(いずれも市内)、介護施設57(市内39、市外18)などが参加。600⼈程度が登録済み。
 その特徴は、構築費が掛からない上、⻑久⼿市が運⽤費(概算で年間259万2000円)を負担していること。さらに、医療機関や薬局、介護施設、患者がサービスを利⽤した場合の費⽤は掛からない。これにより、安定的な運⽤が可能となっている。

■メーカー主導ではない契約を
 WPでは、地域医療情報連携ネットワークについて、医療機関同⼠が患者の情報を連携するという考え⽅で設計されている場合が多いことから、患者主体で導⼊されるべきだと主張している。 
 また、ネットワークには、整備費だけでなく、毎⽉の運⽤費や約5年ごとのリプレイス費も掛かり、「多くの地域でそれらの費⽤負担が⼤きな課題となっている」と指摘。初期費だけでなく、運⽤費なども念頭に置くなど、⻑期的な視点で計画を⽴てる必要があるとしている。さらに、導⼊に当たってメーカー主導の契約になっているケースが多く⾒られることも問題視。メーカーと交渉する際は、▽契約の有効期間や⼯期▽責任の範囲や所在▽権利の帰属▽不具合などで⽣じた費⽤の負担▽開発途中での仕様の変更が可能かどうか▽バックアップや保守体制―などに留意すべきとの考えも⽰している。
 WPを作成した渡部愛主任研究員は、「メーカー主導の契約にならないよう、専⾨家らに相談することが重要」と話している。

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