介護保険利用料を減らす有効手段「世帯分離」とは
週刊ポスト2018年8月31日号
同居する子供と「世帯分離」することで介護費用を大幅セーブ
65歳を迎えて年金生活に突入すると、身近な問題として迫ってくるのが介護の問題だ。この年齢から要介護状態となれば公的介護保険から介護保険サービスが受けられるようになるが、月々の利用料を減らしたい場合、どうするか。そんなときに非常に有効な手段が「世帯分離」である。
同居して子供の住民票に入っている親は少なくないが、書類上、そこから外れて別世帯となることを指す。同じ家、同じ住所に住んでいても、住民票の世帯を分離することは認められている。
最大のメリットは、介護保険サービス利用料の自己負担額を大幅に軽減できることだ。ファイナンシャルプランナーの森田悦子氏がいう。
「介護保険サービスは世帯収入によって自己負担の上限額を定めるため、現役世代である子供と世帯を分けて、親の世帯収入を少なくすれば、自己負担額を大きく減らせます。例えば住民税課税対象者の子供と同一世帯の場合は介護サービスの自己負担上限は月額4万4400円ですが、住民税非課税である親が世帯分離すれば2万4600円まで下がり、月2万円程度軽減されることになります」
年間で約24万円の節約だ。世帯分離をして世帯収入を減らせば、後期高齢者医療保険料や、介護療養型病院への入院費用などが下がる利点もある。子供に介護費用の捻出を頼む前に検討したい手段だ。
「ただし、1つの世帯で2人以上介護サービスを利用する場合や、親も子供も国民健康保険を払っている場合などは、トータルの負担額が増えるケースもあるので注意が必要です」(森田氏)
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