吸入粉末剤、呼吸機能低下で使用困難を念頭に 医療機能評価機構が注意喚起
日本医療機能評価機構は、薬局から報告があったヒヤリ・ハット事例のうち、医療安全対策に有用な「共有すべき事例」を公表した。小児が粉末剤を十分に吸入することができなかった事例を取り上げた上で、呼吸機能低下の患者は同剤の使用が難しい場合があることを念頭に置き、場合によっては別の剤形を処方提案するよう、薬剤師に求めている。
疑義照会に関する事例では、抗インフルエンザウイルス薬のイナビル吸入粉末剤20mgが処方された4歳児に薬剤を交付した際、吸入確認用の笛を使用してもらったところ、その小児は音が出るまで同剤を吸入することができなかった。そのため、薬剤師は吸入粉末剤の使用は難しいと判断し、処方医にタミフルドライシロップ3%への処方変更を提案したところ、それが聞き入れられた。
疑義照会を行った薬局では、処方された薬剤と患者の家族から聞き取った情報を照合し、年齢に適した薬剤かどうかを確認したという。
同機構は、吸入粉末剤について、ある程度の吸気の力が必要なため、特に幼児や高齢者といった呼吸機能が低下している患者にとっては使用が困難なことがあると指摘。その上で、薬剤師は処方された薬剤が患者にとって使用可能な形状かどうかを確認し、使用に不安がある場合には
ほかに適した形状の有無などを検討して処方医に提案すべきだとしている。
■薬剤師が患者の腎機能を把握して減薬を提案し実現
疑義照会に関する別の事例では、サイトメガロウイルス感染症治療に効能があるバリキサ錠450mgを処方された70歳代の患者に対して、薬局で血液検査を行ったところ、クレアチニン値から算出したクレアチニン・クリアランス(CCr)が36.4ml/分だった。
CCrの正常値は、おおよそ100―120ml/分とされているため、日本腎臓学会の「薬剤性腎障害診療ガイドライン2016」(GL)に基づき、薬剤師が同錠の減量を処方医に提案。それが実現した。その薬局では、検査値の確認を徹底し、腎機能の評価を行っているという。
同機構はこの事例のポイントとして、患者の腎機能を把握してGLに基づいて薬剤師が処方医に減薬を提案したことを挙げている。その上で、「処方医と連携しながら薬物療法の有効性・安全性の向上に貢献することは、薬剤師の重要な役割だ」と強調している。
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