高齢者の医薬品適正使用の指針、「総論編」を通知 厚労省
厚生労働省は29日、「高齢者の医薬品適正使用の指針」(総論編)を都道府県などに通知した。処方の見直しの基本的な考え方や薬物療法の適正化のためのフローチャートのほか、特に慎重な投与が必要な薬物などを記載したもので、医療機関での積極的な活用を促している。
総論編は、高齢者の特徴に配慮した、よりよい薬物療法を実践するための基本的な留意事項などをまとめた“ガイダンス”で、診療や処方の際の参考情報を提供することを目的に作成された。主な利用対象者は、医師や薬剤師だが、看護師や他職種による活用も視野に入れている。
外来受診や入院、介護施設の入所の時などさまざまな療養環境や、新たな急性期疾患を発症して薬物有害事象の可能性がある状況で、処方の見直しが可能だと指摘している。
処方の適正化を考える際には、患者が受診している医療機関や診療科をすべて把握するとともに、患者の疾患や老年症候群などの併存症、日常生活動作(ADL)、生活環境、使用薬剤の情報を十分に把握することが必要だとし、高齢者総合機能評価(CGA)の実施を推奨している。
薬物療法の適正化のフローチャートでは、推奨される薬物の使用法の範囲内かどうかを検討。範囲外であれば、薬の減量や中止が可能かどうかを検討し、可能でなければ代替薬の有無を確認するとしている。一方、推奨される薬物の使用法の範囲内であれば、その効果を検証し、有効であれば慎重に投与を継続。効果が疑わしい場合は、減量や中止が可能か検討するよう促している。
■薬の減量・変更、「慎重な経過観察を」
薬の減量や変更をする際の留意点としては、変更によって、▽対象疾患の増悪が認められないか▽過剰な治療効果が現れていないか▽代替薬による有害事象が生じていないか―といった観点で、「慎重な経過観察を欠かしてはならない」と注意を呼び掛けている。また、有害事象など問題の発生の有無について他職種と共有し、処方の適正化を行うことを推奨している。
さらに、高齢者への薬物投与の留意事項も記載。高齢者では薬物の最高血中濃度が高くなったり、薬物の体内からの消失が遅くなったりしやすいことから、投薬の際は減量や投与間隔の延長が必要だと指摘。原則として、少量から開始し、効果や有害事象をモニタリングしながら徐々に増やすことを促している。
■特に慎重投与が必要な薬、推奨する使用法など記載
総論編には、「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」を添付している。利尿薬や制吐薬、ステロイド、抗パーキンソン病薬などに関し、推奨される使用法や主な有害事象などを記載している。
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