看護職員の52.8%が暴力・ハラスメントを経験 日看協調査

キャリアブレイン 2018年05月17日

 看護職員の52.8%が、過去1年間に勤務先または訪問先などで暴力・ハラスメントを受けた経験があることが、日本看護協会(日看協)の「2017年看護職員実態調査」の結果で分かった。
 調査は17年10月1日から11月9日にかけて、病院や介護施設などに勤務する看護師や准看護師、助産師、保健師などを対象に実施し、2617人から回答を得た。
 それによると、過去1年間に勤務先や訪問先で受けたことがある暴力・ハラスメントは、「精神的な攻撃(脅迫・暴言等。例えば、同僚の前で無能扱いする、必要以上に長時間にわたり繰り返し叱る等)」が31.5%で最も多く、次いで「身体的な攻撃(暴行・傷害。例えば、蹴る、胸ぐらをつかむ、物を投げつける等)」(22.9%)、「人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視。例えば、挨拶しても無視される、根拠の無い悪い噂を流される等)」(17.9%)などの順だった。
 精神的な攻撃や人間関係からの切り離しを、誰から受けたのかを聞いたところ(複数回答)、「同じ勤務先の職員」が最多で、身体的な攻撃は「患者」から受けたとする回答が9割を超えた。
 また、超過勤務の状況については、フルタイムで働く正職員2169人を集計の対象とした。17年9月の1カ月間の状況について聞いたところ、「超過勤務をした」との回答が85.7%を占め、13年の前回調査から5.5ポイント上がった。
 1カ月の平均超過勤務時間は18時間46分で、前回から6時間45分増と大幅に増えた。日看協は、「着替えの時間や始業前勤務などの時間も超過勤務に含む」と今回から明記したことが影響した可能性があるとしている。このうち、申告した超過勤務時間は8時間2分で、実際の勤務時間と10時間43分の違いがあった。
 超過勤務で行った業務内容は(複数回答)、診療の補助、療養上の世話など「本来業務」(65.4%)が最も多く、以下は、書類作成など事務作業を含む「周辺業務」(60.1%)、患者情報の確認などの「始業前残業」(44.0%)、業務上義務付けられている「研修・教育訓練」(32.8%)などの順。
 調査では、「いま働いていない種類の職場での就業意向」についても聞いた(複数回答)。回答は7項目あり、「訪問看護などの在宅医療・看護」(60.0%)、「介護保険施設等(老健施設・特養など)」(55.5%)、「病院(療養が中心)」(52.9%)、「地域保健」(52.3%)、「へき地医療」(39.1%)、「看護系教育研究機関での看護教育」(33.4%)、「病院(急性期対応が中心)」(14.7%)の順に多かった。
 今後も看護師として働き続けたいかとの質問には、「続けたい」が57.5%で最も多く、次いで「看護職にはこだわらず興味・関心の持てる仕事がしたい」が33.4%だった。

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