介護ポストセブン 2024/9/18
未婚化や単身世帯化の進行などにより65歳以上の一人暮らしが増え、身寄りのない高齢者への支援が課題となっている
政府は、未婚化や単身世帯の増加を背景に、身寄りのない高齢者支援の方向性を示すため、有識者会議を通じて「高齢社会対策大綱」の改定に向けた報告書をまとめた。6年ぶりの改定であり、今後増加が予想される高齢者の身元保証の問題が議論の焦点となった。
報告書では、介護施設や病院への入所・入院時に保証人を求められるケースが増えていることが指摘され、法的な支援の強化が求められている。また、賃貸住宅への入居時に必要な保証制度の見直しも、特に急務として挙げられた。政府はこれに基づき、具体的な対策を進める考えを示している。
拡大する「高齢者等終身サービス事業」の課題
報告書では、急速に拡大している「高齢者等終身サービス事業」に関しても問題が指摘されている。この事業は高齢者向けに身元保証や生活支援を提供するものだが、サービスの内容や料金にばらつきがあり、事業者によって質の差が大きいという懸念が指摘されている。全国の消費生活センターなどには「希望していないサービスが勝手に追加されていて、高額な支払いを要求された」「解約したいが返金されない」といったトラブルの相談が相次いでいるという。報告書でも、事業の透明性と質の確保が強調され、より健全な事業運営を実現するための仕組みづくりが急務だと提言している。
政府は今年6月に同事業のガイドラインを策定し、適正な運営を確保するための基盤整備を進めている。ただし、報告書では「高齢者等終身サービス事業」だけではすべての問題を解決できないと指摘。医療や介護との連携が不可欠であり、高齢者の生活全体を支えるための包括的なサポート体制の整備が求められている。
今後の高齢者支援の展望
今回の報告書に基づき、政府は近く「高齢社会対策大綱」の改定を閣議決定する予定だ。今後は、法制度や民間事業者との連携を強化し、地域社会と一体となった支援体制の構築が進められる見通し。
特に、医療や介護の充実が高齢者支援において重要な課題として位置付けられている。今後の対策がいかに実効性を持ち、具体的な成果を上げられるかが、超高齢社会の課題解決に向けた鍵を握るだろう。
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