21年度介護報酬改定に向けた議論を整理(6)個別サービスの報酬はどう変わる? 通所介護等編

キャリアブレインマネジメント 2020年11⽉27⽇

 厚⽣労働省は社会保障審議会・介護給付費分科会に、これまでの議論を踏まえた個別サービスの報酬・基準の⾒直し項⽬を整理して、それぞれの論点への対応案を⽰した。連載第6回は前回に続いて、通所介護や通所リハビリテーション、短期⼊所、福祉⽤具などの論点を⾒ていく。今後⾒直される可能性もあるが、改定に向けた現状把握に役⽴ててほしい。 
 
■通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護
 論点1は、共⽤型(介護予防)認知症対応型通所介護の管理者について、管理上⽀障がなければ本体施設・事業所の職務と併せて、同事業所の他の職務に従事できることとする。
 論点2は、通所介護等の⽣活機能向上連携加算の算定率が⾮常に低いため、リハ専⾨職等が事業所を訪問せずにICTの活⽤等で利⽤者の状況を適切に把握し助⾔した場合も評価に加える。また、算定要件となる連携先を⾒つけやすくするため、都道府県および保険者が事業所間の調整を⽀援する。短期⼊所⽣活介護の論点2も同様。
 論点3は、個別機能訓練加算(I)と個別機能訓練加算(II)の統合。論点4は、通所介護の⼊浴介助加算について、訪問により把握した利⽤者宅の環境を踏まえた個別⼊浴計画を作成し、⼊浴介助を⾏うことを新たに評価する。通所リハの論点5も同様。
 論点5は、地域密着型通所介護等の運営基準上で設けられている地域等との連携を、通所介護にも設けて、地域での社会参加活動等を促進する。論点6では、他の通所系サービス等にある中⼭間地域等に居住する者へのサービス提供加算が、認知症対応型通所介護には設けられていないため、これを追加する。
 資料「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護の報酬・基準について」
 厚労省ホームページよりhttps://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000696138.pdf

■療養通所介護
 現⾏、3時間以上6時間未満(1,012単位)と6時間以上8時間未満(1,519単位)の基本報酬と加算を組み合わせる報酬体系を、柔軟なサービス提供ができるように加算を基本報酬に含んだ上で、⽉単位の包括報酬とし、サービス提供量が過少の場合は減算する。また、⻑期間状態が安定して⼀定の要件を満たす利⽤者の状態確認にICTを活⽤できるようにする。
 資料「療養通所介護の報酬・基準について」
 厚労省ホームページよりhttps://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000694876.pdf

■通所リハビリテーション
 論点1は、現⾏の通所リハビリテーションの報酬体系は「規模別」「時間区分別」を基本に、加算でリハビリテーションの機能を評価している。「⼼⾝機能・活動・参加」への取り組みを促進するため、⽉単位での包括的な報酬体系を創設=資料=。現⾏の⽇単位報酬体系を残しつつ、希望する事業所が新たな報酬体系に移⾏できる選択制とする。また、「⼼⾝機能・活動・参加」への取り組みを複合的に評価するため、利⽤者のADLに基づく事業所の評価を実施。
資料 厚労省ホームページよりhttps://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000695025.pdf

 論点2は、リハビリテーションマネジメント加算の4区分から(I)(IV)を廃⽌。(II)(III)は評価を⾒直し、それぞれについてVISIT・CHASEへのデータ提供、フィードバックによるPDCAサイクル推進を評価する。また、加算の算定要件の1つである定期的な会議の開催について、利⽤者の了解を得た上で、テレビ会議等の対⾯を伴わない⽅法を可能とする。
 論点3は、訓練そのものが⽬的化し適時・適切なリハビリテーションが提供されていないなどの提⾔から、社会参加への移⾏状況の計算式や利⽤の回転率などの算定要件を⾒直し、「移⾏⽀援加算」へと名称変更する。
 論点4は、算定率が1%以下の⽣活⾏為向上リハビリテーション実施加算について、(1)加算算定後に継続利⽤する場合の6⽉間の減算を廃⽌(2)3⽉以内と3⽉超6⽉以内で階段状になっている単位数を単⼀(現⾏の3⽉以内より低く設定)にする。この⾒直しを踏まえて、同加算の利⽤者の要件や取り組みの内容を検討・明確化する。
 論点6は、業務効率化の観点からリハビリテーション計画書と個別機能訓練計画書の項⽬を共通化し、リハビリテーション計画書固有の項⽬を簡素化する。論点7は介護予防通所リハの⻑期間利⽤で、利⽤開始から〇カ⽉が経過した後の、単位数を適正化する。資料「通所リハビリテーションの報酬・基準について」
厚労省ホームページよりhttps://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000695025.pdf

■短期⼊所⽣活介護
 看護職員が不⾜している事業所は約4割で、このうち9割以上が「採⽤が困難である」と回答するなど、必要な看護職員を確保することが難しい事業所もあるため、併設型かつ定員20⼈以上の事業所は「常勤」で看護職員を配置することとされているが、単独型・併設型かつ定員19⼈以下の事業所と同様の⼈員配置基準とする。⼀⽅、この単独型・併設型かつ定員19⼈以下の事業所は、現⾏規定上は看護職員を配置する必要はないが、医療的ケアが必要など利⽤者の状態像に応じて、病院等との密接かつ適切な連携により確保する。

資料「短期⼊所⽣活介護の報酬・基準について」
厚労省ホームページよりhttps://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000694878.pdf

■短期⼊所療養介護
 短期⼊所⽣活介護の利⽤⽬的および提供サービスとの類似性の観点から、基本サービス費を⾒直し、医療ニーズがある利⽤者の受け⼊れ促進のため、医師の診療計画に基づき⾏う総合的な医学管理について、「総合医学管理加算」(仮称)を新設する。
 また、7⽇を限度とする緊急短期⼊所受⼊加算の算定について、短期⼊所⽣活介護との均衡を考慮して「7⽇以内を原則として、家族の疾病等やむを得ない事情がある場合には14⽇以内」に⾒直す。

資料「短期⼊所療養介護の報酬・基準について」
厚労省ホームページよりhttps://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000694879.pdf

■福祉⽤具・住宅改修
 退院・退所時のカンファレンスにおいて、福祉⽤具専⾨相談員や作業療法⼠等の関係職種が介護⽀援専⾨員と連携を推進するため、居宅介護⽀援の退院・退所加算等の要件において、福祉⽤具の貸与が⾒込まれる場合は、福祉⽤具専⾨相談員や作業療法⼠等の関係職種の関与を明⽰する。また、福祉⽤具の事故等について、再発防⽌の観点から市町村等にどのような内容の事故情報が収集されているのか実態把握を⾏うとともに、関係団体と連携して効果的な取り組みを検討する。これらの事故防⽌に資する情報を基に、福祉⽤具専
⾨相談員の指定講習カリキュラム等の必要な⾒直しを検討する。
 資料「福祉⽤具・住宅改修の報酬・基準について」
 厚労省ホームページよりhttps://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000694880.pdf

次回は、個別サービスの訪問介護や訪問看護を⾒る。

 

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