消毒液不足、たん吸引の子ども直撃 月1ℓは要るのに

朝日新聞 2020年3月19日

 新型コロナウイルスの影響で、たんの吸引や呼吸器など医療的ケアが必要な子どもたちの家庭が窮地に立っている。にわかに消毒液やマスクが品薄になり、日常的に必要としてきたケア児家庭も入手困難になっているからだ。支援団体は緊急のアンケートを公表し、寄付などを受け付けている。
 東京都内の特別支援学校中等部1年、横平明奈さん(13)は、神経の難病である脊髄(せきずい)性筋萎縮症のため、気管切開して人工呼吸器と、胃ろうをつけている。
 明奈さんは1時間おきにたんの吸引が必要で、その都度、看護する人がアルコール消毒液で手を消毒し、器具をふく時に消毒綿も使う。医療的ケア児はウイルスに感染すると重症化しやすく、人一倍感染防止に気を使う。家族にとってマスクは必需品だが、父の貫志さん(44)は、家にあるものでいつまでもつか不安を感じている。「薬局は消毒液もマスクもずっと品薄で、切らしてしまったらケアができない。保護者同士で心配しています」。
 支援団体でつくる「全国医療的ケア児者支援協議会」によると、ケア児にはたんの吸引が必要な子が多く、平均で1日に15回ほどで、ひと月に500ミリリットルの消毒液2~3本を使うという。協議会は3月初旬、ケア児の保護者に緊急ウェブ調査を実施(190人が回答)。どのような支援があったら助かるか複数回答で聞いたところ、「マスクやエタノールの提供」(60・5%)が最も多かった。
 厚生労働省は3月中旬から、医療的ケア児のいる家庭に都道府県を通じて国が備蓄していた消毒用エタノール約4700個を配っている。ただ、同省の推計では医療的ケア児は全国に約1万9千人いる。協議会事務局の黒木健太さんは「必要な家庭全体に行き届くにはまだ数が足りない」と話す。
 また、政府の休校要請による影響も出ている。黒木さんによると、一般の学童保育に比べ、医療的ケア児を受け入れる施設はまだ少なく、保護者による看護が増えている。一部の特別支援学校や小中学校では受け入れを続けているが、1日に通える人数が制限され、希望しても行けない場合もあるという。アンケートでは「仕事を休まざるを得ないことによる失業や収入減に対する不安がある」などの自由回答もあった。
 子どもの自宅を支援員が訪問して日常生活を支援する制度は、障害の状況により利用回数などに限りがあり、常に子どもが自宅にいる場合は十分ではない、という声もある。協議会では「訪問型の支援をより多く使えるようにしてほしい」としている。
 同協議会では消毒液などの寄付を受け付けている。人員が限られているため、希望する人はまず同協議会HP(http://iryou-care.jp/別ウインドウで開きます)の問い合わせフォームから連絡してほしいとしている。

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