新規福祉用具貸与63品目の2020年7月からの平均・上限価格公表―厚労省

Gemmed 2020.1.28.

 厚生労働省は1月24日に、介護保険における今年(2020年)7月からの福祉用具貸与(新規63品目)の「全国平均貸与価格」および「上限価格」を公表しました(厚労省のサイトはこちら)。

上限価格を超える貸与価格での貸与、介護保険対象外になる点に留意を
 公的介護保険サービスの1つに「福祉用具貸与」があります。▼車いす(付属品含む)▼特殊寝台(ベッド、付属品含む)▼床ずれ防止用具▼体位変換器▼手すり▼スロープ▼歩行器▼歩行補助つえ▼認知症老人徘徊感知機器▼移動用リフト(つり具の部分を除く)▼自動排泄処理装置—の貸与費用の一部を保険給付するもので、いわゆる「在宅限界」を高める重要な役割があります。
 従前、福祉用具貸与の価格は「事業所の裁量による価格」、つまり「言い値」となっていたため、まったく同じ製品であっても貸与価格に大きなバラつきがあり、一部事業者では非常に高額な貸与価格を設定していることが問題視されていました。
 そこで2018年度の介護報酬改定で、(1)全国における平均的な貸与価格を公表し、福祉用具専門員に対し「利用者に説明する」ことを義務付ける(2)貸与価格の上限を設定する(上限を超過する貸与価格を設定した事業所者について、当該製品は保険給付を行わない)―という2点の見直しが行われました。
 前者(1)は、利用者が情報をもとに「製品・事業者を適切に選択できる機会を確保する」ことを狙ったもので、福祉用具専門員には、利用者への▼当該製品の貸与価格▼同一製品の全国平均貸与価格▼当該製品の特徴▼同一の機能を持つ他製品の情報―の情報提供義務が課されています(2018年10月から)。
 また後者(2)は、保険請求できる上限価格を「全国平均価格+一定幅(1SD、標準偏差)」に定めるものです(2018年10月から)。同じ製品でも▼仕入値▼搬出入経費(遠方の利用者に届けるには輸送費が多くかかる)▼保守点検等費用―が事業者によって異なることから、貸与価格の一定幅を認めたものです。
 厚労省は2019年度以降、▼3か月に1度程度、新規製品について「全国平均価格情報」や「貸与価格上限」を設定し、公表する▼1年に1度程度、「全国平均価格情報」や「貸与価格上限」を見直す―こととしていました。しかし、2018年10月以降の平均価格・上限価格公表により▼高額な貸与価格設定は相当程度排除されている▼福祉用具貸与事業所の74%で収益が減少し、またカタログ修正などによるコストも発生している―などの状況に鑑みて、「2019年度には上限価格見直しは行わず、新商品についてのみ新たな上限価格設定を行う」方向に修正されました(2019年4月10日の社会保障審議会・介護給付費分科会で決定)。
 この修正方針に則り、今般、新規製品(63製品)の価格情報(全国平均・上限)が新たに公表されました。これらは今年(2020年)7月から適用されます。
 新規製品を眺めてみると、例えば▼「介護用ベッドKQ-60000シリーズ」(2モーター・ボトム長:レギュラー):平均価格7891円、上限価格9640円▼自走式車いす(立ち上がるとロックされ、座るとロックが解除される)の「立ち止まりくん AR-901」:平均価格6793円、上限価格:7020円▼電動車いすの「マイピア」(型番BT4B):平均価格2万1028円、上限価格2万2650円▼伸縮タイプの手すり「AT-C--E1050」:平均価格1万1123円、上限価格1万2650円▼離床/徘徊防止センサーの「離床徘徊わかーる6900」(型番SRH6900-LS):平均価格5458円、上限価格5690円―などとなっています。

◆福祉用具貸与に係る平均価格・上限価格の一覧は、こちら(厚労省サイト)からダウンロードできます
 福祉用具専門相談員においては、製品の特徴・価格にとどまらず、利用者の適切な選択に資するために「全国平均貸与価格」を利用者に説明しなければならない点、福祉用具貸与事業者においては、上限価格を超える価格で貸与を行った場合、介護報酬の「福祉用具貸与費」は算定できなくなる点に留意が必要です。

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