第7次医療計画の中間見直し、「在宅歯科診療」の指標も追加 KDBデータの提示で在宅医療の「見える化」も実施
M3.comレポート 2019年9月9日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)
厚生労働省の「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(座長:田中滋・埼玉県立大学理事長)は9月6日、在宅医療に関する第7次医療計画の中間見直しについて議論し、在宅歯科医療に関する数値目標を新たに盛り込むことで合意した。
「在宅歯科医療の提供体制等に関する検討会」は今年6月に「議論の整理」をまとめており、その内容を反映させる。ストラクチャー指標としては「訪問口腔衛生指導を実施している診療所・病院数」など、プロセス指標としては「訪問口腔衛生指導を受けた患者数」などが候補になる(資料は、厚労省のホームページ)。
既存の在宅医療に関する数値目標は、必須指標として「訪問診療を実施している診療所、病院数」がある。追加指標の候補として、実施施設数だけでなく、実際の訪問診療の件数などが挙がったが、厚労省担当者は会議後、記者らに対し、その重要性は認めつつも、数値目標にするかどうかについては議論が深まっていないとし、第7次医療計画の中間見直しでの反映は難しいと見通した。
厚労省は、「国保データベース(KDB)」を分析・集計し、(1)2019年中に、在宅医療提供体制の見える化に係るデータ(供給側:在宅医療を実施している医療機関数・在宅医療の実施状況など、需要側:在宅医療を受けている患者数・市町村流出入など)、(2)2019年度内に、地域医療構想に伴う在宅医療の追加的需要の整備目標の設定に係るデータ(2012年度から2017年度までの療養病床の医療区分1の患者が退院後に受けた在宅医療、介護サービスの状況)――を都道府県に提供するほか、データ活用推進のため、都道府県研修会や活用事例の紹介等を実施する予定であることを説明した。
第7次医療計画は、2018年度からの6カ年計画。「5疾病5事業および在宅医療」に関する数値目標などを盛り込んでおり、その中間年に当たる2020年度に見直しを行うことになっている。第7次医療計画には、地域医療構想による病床の機能分化・連携に伴い生じる、在宅医療の追加的需要が十分には反映されていないなどの課題がある。KDBデータの提供は、その課題解決や在宅医療の推進が狙い。ただし、国保・後期高齢者以外の被保険者は把握できないことから、小児疾患や難病に伴う在宅医療のニーズの補足は十分ではないなどの留意点がある。構成員からはKDBデータ以外に、どんなデータを使用すればいいか、その提示を求める意見が挙がった。
「在宅医療の提供体制の評価指標の開発のための研究」中間報告
6日の会議では、埼玉県立大学大学院/研究開発センターの川越雅弘氏が、厚労科研「在宅医療の提供体制の評価指標の開発のための研究」中間報告を行った。
川越氏は、都道府県担当者へのヒアリングから見えてきた課題として、「目的⇒目標⇒手段」という思考展開ではなく、手段(施策)に意識が強く向く傾向にあると指摘。ロジックモデルの考え方を用いた在宅医療計画策定の例として、東京都国立市の事例を紹介した。「都道府県および市町村担当者は、施策や事業から物事を考えがち。さまざまな計画を実効あるものにするためには、目的意識を持った上で、あるべき姿を設定し、課題や目標を具体化し、課題を生じさせている要因を特定した上で対策(施策や事業)を考えるといった思考の強化が、最も優先度の高い課題と考える」(川越氏)。
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