「働くと支援なし」壁に 矛盾制度、改善求める声 「就労中の障害者介護」

共同通信 2019年7月31日

 重い障害のあるれいわ新選組の参院議員2人が求めた議員活動中の介護保障の問題は、働きたい当事者にとっても大きな壁として立ちはだかる。国は収入が発生する「経済活動」中は介助費に公的補助を認めていないためだが、自治体では独自に支援する動きも。「障害者の就労や自立の支援に矛盾した制度で、改善するべきだ」との声が上がる。

 ▽配慮
 れいわから初当選し、脳性まひで体がほとんど動かせない木村英子氏らは、障害福祉サービスの「重度訪問介護」が受けられなくなれば、8月1日からの臨時国会に出席できないと訴えていた。
 30日の参院議院運営委員会理事会で与野党が協議し、参院などが介助費を当面負担すると決めた。2人の議員活動に限っては、参院による「合理的配慮」によって支援が認められた形だ。一方、一般社会では、重度障害者が働きづらい状況は変わらないままとなる。

 ▽先送り
 「介護はまさに生活の一部。家でテレビを見たり寝っ転がったりする時は利用できるのに、働く間は使えない。絶対におかしい」。さいたま市に住む矢口教介(やぐち・きょうすけ)さん(31)はそう感じてきた。筋肉が次第に衰える難病の「筋ジストロフィー」の患者で人工呼吸器を装着し、24時間の介護が必要だ。
 約20年間、入院療養する中で「一度は地域に出たい」と決断し、2017年6月からアパートで暮らす。現在、わずかに動く右手指先でパソコンを操作し企業のチラシなどのデザインを請け負う。1日3~5時間、週に5日働き収入を得る。
 在宅での就労中も排せつや水分補給などの重度訪問介護を受けられるのは、さいたま市が本年度から独自支援を始めたからだ。矢口さんらから制度改善の訴えを受けた市は「働くと支援が受けられない矛盾」を感じ昨年、国に見直しを求めた。
 ただ、厚生労働省は「経済活動にかかる支援は、恩恵を受ける雇用主が負担するべきだ」との考えを変えず、「福祉施策と労働施策の役割分担を踏まえ検討」と、20年度末まで結論を先送り。市が先に支援に乗り出した。

 ▽貢献
 筋力が低下していく難病「先天性ミオパチー」患者で同市の猪瀬智美(いのせ・さとみ)さん(30)も改善を求めてきた。24歳ごろからパソコンを使い在宅で事務の仕事を続ける。午前3時間と午後3時間の勤務中はヘルパーを使えず、自身でトイレに行くことや服の脱ぎ着ができないほか、水分補給も難しく体調不良になることも。勤務時のヘルパーを確保でき次第、市の支援制度を利用する考えだ。
 猪瀬さんは「市が対応してくれたのはありがたいが、働くのを諦める重度障害者は多い。全国で支援を実現してほしい」と訴える。矢口さんも「情報通信などの技術が発展する一方、障害福祉の制度が追い付いていない。障害者が働けば税金を納めて社会に貢献できるが、そのチャンスが失われている」と語る。

 ※重度訪問介護
 障害福祉サービスのうち、重度の障害者で常時介護が必要な人に対し、ホームヘルパーが自宅を訪問し、入浴や排せつ、食事など生活全般の手伝いや外出時の移動支援といった介護をする。重い障害がある「れいわ新選組」の船後靖彦(ふなご・やすひこ)氏と木村英子(きむら・えいこ)氏もサービスを利用しているが、現行制度では「議員活動」は「就労」と同様に収入の発生する「経済活動」と見なされ、雇用主が負担すべきだとの考えから公的補助の対象外となっている。

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