困窮、子の健康損なう アレルギー、歯の病気10倍 孤立状況も影響か 東大が生活保護世帯分析
共同通信 2019年7月29日
生活保護受給世帯では、アレルギーや歯の病気がある子どもの割合が一般世帯の10倍以上にもなるとの研究結果を、東京大の近藤尚己(こんどう・なおき)准教授(社会疫学)らのチームが29日までにまとめた。特にひとり親世帯で病気がある子の割合が大きかった。
生活上のストレスやハウスダストなどの居住環境のほか、「対処の仕方を教えてくれたり、助けてくれたりする人が周囲にいない」という孤立状況も背景にあるとみている。国や自治体は2021年から受給者への健康管理支援事業を始めるが、大人の生活習慣病対策が中心。子どもにも有効な支援が確実に届く仕組みが求められる。
分析の対象は、二つの自治体で16年に生活保護を受給していた世帯の15歳以下の男女573人。厚生労働省の国民生活基礎調査を基に同年代の全体状況も調べ比較した。
受給世帯でぜんそくにかかっていた子は年齢、性別が違っても20~31%と多く、一般の子に比べいずれも10倍以上。虫歯や歯肉炎など歯の病気、アレルギー性鼻炎も10倍以上の差があった。格差が比較的小さいアトピー性皮膚炎でも5倍程度の開きが見られた。
また受給世帯の中でも、ひとり親世帯の子は、ひとり親でない世帯の子に比べアトピーが4倍、歯の病気が2倍などで、健康状態が悪かった。
経済的な困窮に加え、「ワンオペ育児」と呼ばれる孤独な育児の困難も影響したとみられ、近藤さんは「ひとり親の責任を問うのではなく、子育ての面などで追加的な支援をすることで、子どもの健康を改善できる可能性がある」と指摘する。
※健康管理支援事業
2018年に成立した改正生活保護法に、生活保護の受給者に対する健康管理支援が盛り込まれ、21年から事業が始まる。受給者には生活習慣病のリスクを抱えた人が多いとされ、自治体は健康診断の受診を勧めたり、重症化の予防策をアドバイスしたりする。ただ、健康状態や病気の要因は十分に把握できていないのが現状で、どんな支援が有効かについても不明点が多い。自治体のマンパワー不足も心配され、優先的に介入すべき人を特定することも必要になる。
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