蘇生拒否の統一対応見送り 救急出動で消防庁部会 「実態把握が不十分」 将来の再検討求める

共同通信 2019年7月3日

 救急隊員が出動現場で心肺停止状態となった傷病者の蘇生処置をしようとした際、家族らから「本人は望んでいない」と告げられる「蘇生拒否」への対応に関し、総務省消防庁の部会は3日の会合で、現段階での統一方針の策定は困難との報告書を決定した。意向を受け入れるべきかどうか難しい判断を迫られる各地の消防本部が策定を求めていたが、実態把握が不十分と判断した。
 報告書は将来の再検討を求める内容となっているが、消防庁は一定の結論が得られたとして当面、議論は再開しない方針。全国統一ルールの検討は事実上棚上げになる。
 部会長の樋口範雄(ひぐち・のりお)武蔵野大特任教授は会合で「超高齢化社会において出てきた問題で、救急現場が困惑している。報告書をまとめるのは重要な一歩だ」と述べた。
 人工呼吸や心臓マッサージといった蘇生処置の拒否は、自宅で最期を迎えたいとして、延命は望まないと周囲に伝えていた終末期の患者や高齢者が心肺停止となり、動転した家族や本人の意思を知らなかった関係者が119番してしまって直面するのが代表例。消防庁調査では全国728の消防本部のうち、半数超の403が2017年に拒否を経験した。
 ただ報告書は、事例や件数など詳しい集計をしている消防本部が一部にとどまり、実態が十分に明らかになったとは言えないと指摘。今後、多くの事例を収集し、国民の意見や終末期医療の動向を踏まえつつ、将来的に対応の手順を検討することが望ましいと結論付けた。今年2月の報告書素案を踏襲した。
 国の統一ルールがない中で、蘇生拒否時の対応方針を個別に定めていた消防本部は、消防庁調査によると昨年7月1日時点で半数以下の332。内容は「かかりつけ医の指示など一定条件で蘇生を中止」「拒否されても蘇生しながら搬送」に分かれている。

 ※救急隊員の活動
 消防法や消防組織法は、消防の任務の一つに「災害などによる傷病者の適切な搬送」を挙げている。このため各地の救急隊員は、傷病者が心肺停止状態の場合、速やかに蘇生処置を実施することを基本に活動している。蘇生を拒否された際の明確なルールはなく、各消防本部に委ねられているのが実情。一定の条件付きで蘇生を中止している消防本部は、家族の同意や医師の指示など厳格な手順を定めている。

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