【東京】床ずれ、重症化は死の危険 家族「怖さ知っていれば…」

産経新聞 2019/6/1
父の遺影を手に、床ずれの怖さを語る小松久美子さん 寝たきりなどによって、体重で圧迫される場所の血流が悪くなったり、滞ったりして、傷になる「褥瘡(じょくそう)」。一般的に「床ずれ」といわれる症状が、超高齢化社会となる中、問題となっている。重症化すると死に至る可能性があるだけではなく、傷の見た目から患者本人や家族が受けるショックも大きい。医療施設には充実した対策が求められるが、ケアにあたる家族らも心に留めておくことがありそうだ。 ひどい-。平成25年夏、世田谷記念病院(東京)に入院中だった父、瀬之口利行さんの腰に開いた赤黒い穴に、長女の小松久美子さん(59)は言葉を失った。3センチ四方の穴の中はじゅくじゅくとして、変色した部分もあった。 「(床ずれは)靴ずれのようなものですぐ治る」 そう思っていた小松さんにとって、傷は衝撃的だった。瀬之口さんは床ずれの治療のため、転院。しかし、26年に79歳で亡くなるまで治らなかった。死因は感染症の敗血症だった。小松さんは床ずれの予防と治療で過失があったとして、世田谷記念病院を運営する医療法人を相手に損害賠償を求める訴えを起こした。 そもそも瀬之口さんが入院したのは病気が完治し、リハビリを受けるため。裁判の記録では、入院約3カ月で床ずれが発症、それから約2カ月で重度に悪化した。しかし、小松さんが父の背中を偶然見るまで、家族に床ずれの存在は知らされていなかった。 知った後もマットレスの硬さなどを疑問に思ったが、“よい患者家族”でいようと、しばらくは控えめにしか意見を伝えられなかった。「床ずれの怖さを知っていれば遠慮せず病院と話ができた」と振り返る。 裁判は床ずれの予防と適切な治療を怠ったとして、法人に約660万円の賠償を命じる判決が最高裁で確定した。病院は取材に「主張がご理解いただけなかったことは残念。患者さんに真摯(しんし)に向き合っていくことにこれからも変わりありません」とした。 瀬之口さんの死と同時刻。病院に向かう小松さんは、「あとは任せたよ」という父の言葉を聞いたように感じた。「無念を託したんだと思う」。後悔する患者家族を減らしたいと、日本褥瘡学会の依頼で経験を語った。「治療に興味をもって賢い患者にならないと」。床ずれの怖さと、「知らないこと」の怖さを知ってほしい、という。
 □予防するには ■低負担のマット/体位交換が必要 床ずれの予防には、負担の少ないマットレスの使用や数時間ごとの体位交換が必要とされる。 厚生労働省は平成14年、対策しなければ診療報酬を減算する運用を始め、医療機関としての対応を求めた。床ずれに詳しい北海道大の大浦武彦名誉教授によると、床ずれは傷が深くなると全身の状態が悪化し、予後が悪くなるといい、「予防も治療も医療従事者の義務だが、具体策を分かっていないことも多い」と指摘。褥瘡患者と家族の会の大住章二会長は「高齢化や在宅医療の広がりを見据えると、一層多くの人が床ずれを理解することが必要だ」と話している。 日本褥瘡学会では、床ずれにならないために、定期的な体位交換▽体圧を分散する寝具の使用▽栄養管理▽スキンケア-をホームページなどで呼びかけている。

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