訪問看護の推進に向け、人材確保等計画の策定やステーション管理者の質向上を―日看協
MedWatch 2019年5月30日
訪問看護の充実に向けて、人材確保などを定める「総合計画」を策定するとともに、訪問看護ステーションの管理者には「管理者研修」受講を義務付け、サービスの質向上などを目指す必要がある―。 日本看護協会は5月27日に、厚生労働省老健局の大島一博局長に宛てて、こういった内容を盛り込んだ「2020年度予算・政策に関する要望書」を提出しました(日看協のサイトはこちら)。
ここがポイント! 1 訪問看護提供体制に関する計画の作成、訪問看護ステーション管理者の質向上を目指せ 2 介護事故防止に向け、事故情報を一元的に把握・分析する仕組みを構築せよ
訪問看護提供体制に関する計画の作成、訪問看護ステーション管理者の質向上を目指せ 今般の日看協の要望は、大きく次の3項目です。
(1)訪問看護提供体制の推進(「訪問看護推進総合計画」の策定)(2)訪問看護ステーションにおける管理者育成(3)介護施設等における利用者の安全を守るための体制整備 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となり、これから医療・介護ニーズが急速に増加すると見込まれます。従来型の医療・介護提供体制ではこうしたニーズに効果的・効率的に対応できないことから、医療機能の分化・強化と連携の強化、さらに地域包括ケアシステムの構築が進められています。 地域包括ケアシステムは、地域の実情に応じて▼住まい▼医療▼介護▼予防▼生活支援―を一体的に提供する仕組みで、要介護度が重くなっても、可能な限り地域での在宅生活を継続することを目指すもので、その「要」として医療・介護の両サービスを提供する訪問看護が極めて重要な役割を果たすと期待されています。 しかし、訪問看護に従事する看護師は2025年には約12万人必要になると推計されていますが、2018年には約5万人にとどまっており、訪問看護に従事する看護師の育成が重要課題の1つと言えます。そこで日看協では、まず(1)で、▼地域における訪問看護提供体制を推進する「訪問看護推進総合計画」の策定と財源の確保▼「訪問看護推進総合計画」を実行するための「訪問看護総合支援センター」(全国および都道府県)の創設▼厚労省における訪問看護推進のための組織強化―を行うよう求めています。 「訪問看護推進総合計画」には、例えば▼訪問看護職員数の目標値と、目標達成のための戦略▼訪問看護ステーションの大規模化(小規模事業者の再編・統合など)▼病院からの訪問看護の推進▼訪問看護職員の研修充実▼人材確保が困難な地域などへの対策―などを記載してはどうかとも提案しています。 また(2)では、訪問看護ステーションの指定基準において「所定の管理者研修を修了した管理者を配置する」ことも要望。 2014年の日看協調査によれば、外部研修を修了した訪問看護ステーション管理者は▼3-5人(訪問看護ステーションの職員規模、以下同):48.5%▼6-9人:55.0%▼10-14人:63.0%▼15人以上:73.0%―、内部研修修了管理者は▼3-5人:8.7%▼6-9人:14.8%▼10-14人:17.3%▼15人以上:18.0%―で、▼管理者が「研修を受講していない」ケースもある▼小規模のステーションでは管理者研修を受講していないケースが多い―ことが分かっています。 日看協では、「管理者の力量が訪問看護ステーションの大規模化や人材育成・地域連携において重要である」「管理者研修を受けずに管理者となり、ステーション運営に苦慮することもある」ことから、全管理者に適切な研修受講が必要と訴えています。
介護事故防止に向け、事故情報を一元的に把握・分析する仕組みを構築せよ 一方、(3)では医療ニーズの高い介護サービス利用者が増加する中で、介護施設等から報告された事故情報を「再発防止」に生かす仕組みを検討するよう求めています。 介護事業者には、保険者(市町村)への事故報告義務がありますが、その報告内容を集積・分析し、再発防止に生かす仕組みは十分には整備されていません。団塊の世代は2023年から後期高齢者になり始めるため、介護サービス利用者の増加とともに「介護サービスの質向上」「安全性の確保」が重要となってきます。今から、こうした仕組みを準備するよう日看協は提言しているのです。 具体的には、厚労省で介護事故情報を一元的に把握・分析し(例えば「介護事業所・施設→保険者(市町村)→都道府県→厚労省」といった事故情報共有の流れを作るなど)、これを専門家の検討組織で分析し、再発防止策を構築する体制を設けるよう提案しています。
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すぐに考えていないけれど、少しでも御関心があれば、とりあえず雑談させて下さいませ。