行き場のない高齢者 「お泊まりデイ」長期利用の実態明らかに
NHK 2019年5月24日
病気などで自宅で暮らせない高齢者への対応について東京都の社会福祉協議会が都内の支援機関に調査した結果、介護施設に一時的に宿泊できる「お泊まりデイ」などのサービスを長期間利用したことがあると回答したのは30%余りにのぼりました。受け入れ先が見つからず施設を転々とするケースも出ていて専門家などからは対策を求める声が出ています。 この調査は東京都社会福祉協議会が去年、都内にある449の地域包括支援センターに調査を行い、およそ半数の226から回答がありました。 それによりますと、病気や介護をする家族がいないなどの理由で自宅で暮らせない高齢者の受け入れ先として介護施設に一時的に宿泊できる「お泊まりデイ」と呼ばれるサービスや、「ショートステイ」などを長期間、利用したことがあると回答したのは78か所で35%に上りました。 「お泊まりデイ」は介護をする家族が病気になった時などに使われるもので、国のガイドラインでは緊急時や短期的な利用に限るとしています。しかし特別養護老人ホームの空きがないことなどから同じ介護施設に半年以上滞在したり、複数の施設を転々としたりするケースも出ています。 短期的な介護サービスであるのに受け入れ先の見つからない高齢者が長期間、利用している実態が明らかになったということです。 調査に協力した淑徳大学の結城康博教授は「1人暮らしで介護が難しい高齢者は増えている一方、こうした人たちの受け入れ先が十分になく、やむをえず『お泊まりデイ』などで対応している。早急な対策が必要だ」と話しています。
「お泊まりデイ」長期化の現場は 東京・足立区にある介護施設「桜花乃郷」は、日中は食事や入浴などのサービスを提供し、夕方からは一時的に宿泊できる「お泊まりデイ」を行っています。 「お泊まりデイ」は介護をする家族が病気や外出するときなど、高齢者の夜間の受け入れ先として利用されるサービスです。しかし最近では介護をする家族がいないなどの理由で自宅で暮らせない高齢者が長期間、介護施設に滞在するケースが増えているといいます。 このうち地域包括支援センターからの要請で緊急的に受け入れた80代の女性は、認知症の症状が悪化して、同居していた家族が介護をすることが難しくなり、「お泊まりデイ」を利用しています。 現在、特別養護老人ホームへの入所待ちをしていますが、受け入れ先が見つかないため女性の滞在期間は半年を超えています。この介護施設では「お泊まりデイ」の定員9人のうち、1か月以上滞在している高齢者は取材した今月22日時点では2人、多いときでは4人や5人となることもあるということです。 施設の統括責任者を務める角田裕さんは「老老介護で一方の高齢者が入院したり、1人暮らしで病気で生活できなくなったりして、突然、施設にやってきて滞在が長期化するケースが相次いでいます。なんとか支援を続けていきたい反面、今のままでは本来のお泊まりデイとしてのサービスを利用したい人が利用できない事態になってしまうおそれもあるのでもどかしい気持ちです」と話していました。
お泊まりデイに頼らざるをえない現状も 「足立区地域包括支援センター千住西」の久保谷美恵子センター長は、「特別養護老人ホームは順番がまわってくるまでに年月を要するほか、身寄りがない場合は入所の際に多くで求められる身元保証人が立てられないなどの理由から『お泊まりデイ』や『ショートステイ』をやむをえずに長期利用することがあります。食事や排せつ、入浴など誰かが在宅での介護を担うことができれば、問題は解消できますが、そうでなければ緊急的に受け入れてもらえる施設に頼らざるをえない」と話していました。 また今回の調査の中では地域包括支援センターの職員から「施設をつないで空きを待つしかない」、「セーフティネットとしてお泊まりデイなどが必要だ」といった意見も出ています。
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