[外国人材@アジア]介護職に熱い視線…派遣国の若者実習

読売新聞 2019/3/29
 【ハノイ=田中洋一郎、バンコク=大重真弓】外国人労働者の受け入れが4月から拡大されるのを前に、アジア主要国では、人材派遣に向けた準備作業が加速している。特に、今後5年間で最大6万人の入国が想定される介護職には、熱い視線が向けられる。 
■ビジネスの好機 「これから車いすに移動するので、腰を支えます」 3月末、ベトナムの首都ハノイ郊外にある教育施設で、11人のベトナム人女性が、高齢者役や介護職役を務めながら、介護の実習に取り組んでいた。実技や日本語の専門用語を学び、日本で働くためだ。参加したラン・アインさん(21)は「将来は看護師としてベトナムの病院で働きたいので、日本で介護の現場を経験したい」と話した。 この実習を行った人材派遣会社「ホアンロン」(本社・ハノイ)は、介護職の技能実習生約50人を日本に送り出した実績を持つ。日本とベトナムが新制度に基づく協定を結べば、新たな在留資格「特定技能1号」での派遣を目指す予定で、人材育成や情報収集を進めている。ファム・ドゥック・ブオン副社長は「大きなビジネスチャンスと考えている」と語った。昨年末以降、日本の介護施設から派遣の問い合わせが急増しているという。 ベトナムでは、介護人材を派遣する認定業者は13社ある。ベトナム中部で事業展開する日本の社会福祉法人の関係者は「派遣実績のある複数の機関が事業拡大に向けて動いている」と打ち明けた。
■試験実施 フィリピンでは、「特定技能」の取得に必要な介護職の試験が4月13~14日、マニラ首都圏の大学で行われる。日・フィリピン間で締結された協定に基づくもので、人材養成が急ピッチで進む。 マニラ首都圏の人材派遣会社「アルファ・トモ・インターナショナル・マンパワー・サービス」には最近、日本での就労希望が相次ぐ。100人以上の応募者の大半が看護師という。人事部長のアルマリオ・クリストバル氏は「日本で働けば、2倍の給料を稼げるから」と背景を説明した。 マニラ首都圏の別の派遣会社「フィル・アシスト・ライフ・マンパワー・コーポレーション」はこれまで、溶接など工場労働者を年間約200人派遣してきた。今後は介護分野にも本格参入する予定で、渉外担当のレイ・サラザールさん(37)は「日本企業からの求人が待ち遠しい」と話す。

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