【兵庫】神戸の事業者、ネパールに介護と語学の学校設立

読売新聞 2019/326
技能実習生として来日するために勉強する生徒ら(ネパール・カトマンズで)=(ウッドランドグループ提供) 経済的に困窮するネパールの孤児らを外国人技能実習生として受け入れようと、神戸市の介護事業者が日本語と介護を学べる学校を現地に設立した。職場をあっせんできる監理団体の許可も取得し、今秋に卒業生が介護施設で働き始める予定だ。現地での教育から職場への受け入れまで一貫した態勢を整える取り組みで、実習生の送り出し国や日本のあっせん団体による中間搾取などの問題も指摘される中、安心して来日できる環境作りを目指す。 「勉強頑張って。日本で待ってるよ」。兵庫県内6か所で介護施設を運営する「ウッドランドグループ」(神戸市西区)代表の大山守さん(68)が、パソコン画面に向かって日本語で語りかける。
インターネットを通じてネパールの生徒を激励する大山さん(手前左、神戸市西区で)=田中俊之撮影 画面に映るのは、ネパールの首都カトマンズに昨年2月に設立した学校の生徒たち。大山さんらはインターネットを通じて生徒たちと定期的に交流し、学習の様子などを確認している。 学校の設立は、大山さんが約3年前、カトマンズで児童養護施設の運営に携わる男性と知りあったことがきっかけ。養護施設で暮らす80人は、内戦や大地震で親を亡くした子どもたち。学校卒業後、低賃金で働かされたり、路上生活を余儀なくされたりする子どももいると聞かされた。 「安心して働ける場所はないか」と訴えられた大山さんは、人材不足が続く日本の介護施設での受け入れを考え始め、グループ事務局長の宮武昭彦さん(46)を現地に派遣。宮武さんは「何を勉強すれば日本に行けるのか」「お金がないが大丈夫か」と次々と質問され、子どもたちの期待や不安を肌で感じたという。 日本で介護職の実習生が働くには、一定の日本語能力と介護知識の習得が必要だが、子どもたちには教育を受けるお金も場所もない。大山さんは「自分でつくるしかない」と決意し、約1000万円を投じて雑居ビルの一部を改装して教室を作った。日本への留学経験がある講師約10人のほか、日本からもスタッフを派遣して昨年2月、日本語と介護を学べる学校を開設した。 養護施設出身者は授業料は無料。他の生徒も無理なく払える額で、施設出身者15人を含む約150人が通う。特に日本語学習に力を入れ、入国時に最低限必要とされる要件よりも高いレベルの試験を課している。 今秋には施設出身の男女7人(19~21歳)が第1期生としてグループの介護施設で働く予定で、グループは学校の卒業生を他の介護施設にも紹介する計画だ。 大山さんは「働く環境を整え、双方が幸せになれる取り組みにしたい。将来は母国で介護をしてもいいし、特定技能に移行して日本で仕事を続けてもいい。本人の希望がかなうようにしたい」と話している。
◆言葉の壁 実習生数伸びず 2017年11月に始まった介護職の技能実習生の受け入れは伸び悩んでいる。 厚生労働省によると、25年度に約34万人の介護職員が不足する見込みだが、監督機関「外国人技能実習機構」から認定を受けた介護の実習生は、今年2月末で1501人にとどまる。 背景には日本語習得の壁がある。介護職の実習生には入国時、「基本的な日本語を理解できる」程度、1年後にさらに高いレベルの試験に合格する必要がある。他の職種にはない要件だが、不合格になれば帰国させられるため、リスクを避けて来日を敬遠する国もある。 このため厚生労働省は実習生受け入れ増加のため、1年後の試験で不合格でも2年間の在留を認めるなど要件を緩和する方針だ。 また民間主導の日本に比べ、他国では政府関係機関が現地で語学教育施設を運営するケースも多い。国際交流基金(東京)の調査(16年)によると施設数は中国は日本の約50倍、韓国は約5倍に上る。来日希望者が増えているインドやネパールでは教育施設や指導者不足も顕著で、教育環境の拡充も課題となっている。

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