【東京】透析中止の病院長に聞く「選択肢は必要。むしろ倫理的だ」

毎日新聞2019年3月9日
公立福生病院=東京都福生市で2019年3月6日、宮武祐希撮影 公立福生病院(東京都福生市)で人工透析治療をしない選択肢を外科医(50)から提示された女性(当時44歳)が死亡した問題で、松山健院長が毎日新聞の取材に応じ、女性のケースについて「透析治療を含め、どういう状況下でも命を永らえることが倫理的に正しいのかを考えるきっかけにしてほしい」と話した。 2月下旬、病院内で応じた。亡くなった女性について松山氏は「いろいろな選択肢を与え、本人が(透析治療の中止を)選んだうえで意思を複数回確認しており、適正な医療だと考えている」と強調。「透析治療を受けない権利を患者に認めるべきだ」とする外科医や腎臓内科医(55)の主張に理解を示した。 病院は女性が透析治療を中止した際、日本透析医学会のガイドラインで設置が望ましいとされている倫理委員会を開いていない。松山氏は「普通の医療の一環だから、開く必要はなかった」と話す。理由については「(病院全体で)年間200~300人が亡くなる。毎回開くのは非現実的だ」としている。 一方、病院では2013年4月~17年3月、最初から透析治療をしない「非導入」の選択肢をいずれも終末期ではない患者計149人に示し、20人が死亡した。患者の状態が極めて不良など末期的な容体に限定している日本透析医学会のガイドラインから逸脱しているが、松山氏は「『非導入』の選択肢は必要で、むしろその方が倫理的だ」と主張。「(他の医療機関は)『非導入の選択肢はない』と表向きは言うかもしれないが、実際に患者を診ていたら(非導入が)あり得ることは、医療人の誰もが思っていることだ」と言う。 終末期医療を巡る現状についても言及した。「たとえば意識がなく、意思表示が全くできない患者がいる。胃ろうや人工呼吸器は生命的には永らえる。医療費もそれなりに発生するが、それを是とするかどうかだ」と指摘。そのうえで「透析治療を含め、どういう状況下でも命を永らえることが倫理的に正しいのかを考えるきっかけにしてほしい」と結んだ。

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