相澤病院など26機関を「看護師に特定行為研修を実施する機関」に追加、39都道府県で113機関が指定済―厚労省

MedWatch 2019年3月1日
 厚生労働省は2月21日に、▼日産厚生会玉川病院(東京都)▼労働者健康安全機構(神奈川県)▼富山県立中央病院(富山県)▼慈泉会相澤病院(長野県)▼浜松医科大学医学部附属病院(静岡県)▼名古屋大学医学部附属病院(愛知県)▼済生会泉南医療福祉センター(大阪府)▼鳥取赤十字病院(鳥取県)▼広島大学病院(広島県)▼国立病院機構熊本医療センター(熊本県)―など26機関を、新たに「看護師の特定行為研修を行う指定研修機関」として指定しました(厚労省のサイトはこちら(新規指定、新規の行為追加に関する資料)とこちら(研修機関全体に関する資料))。
 これにより、39都道府県113機関(1年前に比べて5県・44医療機関増加)が指定された格好です。
ここがポイント! 1 26機関を指定研修施設に新指定、青森県、長崎県など8県で未整備 2 旭川赤十字病院など17機関で、特定行為研修の区分を追加
26機関を指定研修施設に新指定、青森県、長崎県など8県で未整備 一定の研修(特定行為に係る研修、以下、特定行為研修)を受けた看護師は、医師または歯科医師の包括的指示の下で、手順書(プロトコル)に基づいて38の診療上の補助(特定行為)を実施することが可能になります(関連記事はこちらとこちら)。看護・医療の質向上や、キャリアアップに資することはもちろん、医師の働き方改革の中で「看護師など、他職種へのタスク・シフティング(業務移管)」が求められており、業務移管先として「特定行為研修を修了した看護師」の存在もクローズアップされています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。
 今般、次の26機関が「特定行為研修を行う指定研修機関」として新たに指定されました。機関によって、履修可能な特定行為の範囲が異なります。
(1)清水赤十字病院(北海道):▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連―の1行為
(2)石巻赤十字病院(宮城県):▼創傷管理関連▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連▼感染に係る薬剤投与関連▼血糖コントロールに係る薬剤投与関連―の4行為
(3)浄仁会大泉記念病院(宮城県):▼創傷管理関連▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連―の2行為
(4)日産厚生会玉川病院(東京都):▼胸腔ドレーン管理関連▼創傷管理関連▼創部ドレーン管理関連▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連▼感染に係る薬剤投与関連―の5行為
(5)正志会花と森の東京病院(東京都):▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連―の1行為
(6)労働者健康安全機構(神奈川県):▼呼吸器(気道確保に係るもの)関連▼呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連▼栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連▼創傷管理関連▼創部ドレーン管理関連▼動脈血液ガス分析関連▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連▼循環動態に係る薬剤投与関連―の8行為
(7)横浜市立みなと赤十字病院(神奈川県):▼創傷管理関連▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連―の2行為
(8)富山県立中央病院(富山県):▼呼吸器(気道確保に係るもの)関連▼呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連▼呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連―の4行為
(9)南砺市民病院(富山県):▼創傷管理関連▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連―の2行為
(10)慈泉会相澤病院(長野県):▼創傷管理関連▼創部ドレーン管理関連▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連▼血糖コントロールに係る薬剤投与関連―の4行為
(11)県北西部地域医療センター国保白鳥病院(岐阜県):▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連―の1行為
(12)浜松医科大学医学部附属病院(静岡県):▼呼吸器(気道確保に係るもの)関連▼呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連▼循環器関連▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連▼血糖コントロールに係る薬剤投与関連▼術後疼痛管理関連▼循環動態に係る薬剤投与関連▼精神・神経症状に係る薬剤投与関連―の8行為
(13)名古屋澄心会名古屋ハートセンター(愛知県):▼循環動態に係る薬剤投与関連―の1行為
(14)藤田医科大学病院(愛知県):▼呼吸器(気道確保に係るもの)関連▼呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連▼動脈血液ガス分析関連▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連▼感染に係る薬剤投与関連▼血糖コントロールに係る薬剤投与関連―の6行為
(15)名古屋大学医学部附属病院(愛知県):▼呼吸器(気道確保に係るもの)関連▼呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連▼呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連▼栄養に係るカテテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連▼栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連▼創傷管理関連▼動脈血液ガス分析関連▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連▼感染に係る薬剤投与関連▼血糖コントロールに係る薬剤投与関連▼術後疼痛管理関連▼循環動態に係る薬剤投与関連▼精神・神経症状に係る薬剤投与関連―の13行為
(16)藤井会石切生喜病院(大阪府):▼循環器関連▼術後疼痛管理関連―の2行為
(17)大阪府済生会泉南医療福祉センター(大阪府):▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連▼感染に係る薬剤投与関連―の2行為
(18)日本赤十字社和歌山医療センター(和歌山県):▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連▼感染に係る薬剤投与関連▼血糖コントロールに係る薬剤投与関連―の3行為
(19)鳥取赤十字病院(鳥取県):▼呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連▼創傷管理関連▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連▼感染に係る薬剤投与関連▼血糖コントロールに係る薬剤投与関連―の5行為
(20)松江市立病院(島根県):▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連▼血糖コントロールに係る薬剤投与関連―の2行為
(21)松江赤十字病院(島根県):▼創傷管理関連―の1行為
(22)広島大学病院(広島県):▼呼吸器(気道確保に係るもの)関連▼呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連▼創傷管理関連▼動脈血液ガス分析関連▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連▼感染に係る薬剤投与関連―の6行為
(23)茜会ウエストジャパン看護専門学校(山口県):▼呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連▼創傷管理関連―の2行為
(24)佐賀県医療センター好生館(佐賀県):▼呼吸器(気道確保に係るもの)関連▼呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連―の3行為
(25)国立病院機構熊本医療センター(熊本県):▼呼吸器(気道確保に係るもの)関連▼呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連▼動脈血液ガス分析関連―の3行為
(26)慈愛会今村総合病院(鹿児島県):▼創傷管理関連▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連―の2行為
 新規26機関の指定により、39都道府県・113機関が指定研修機関となっています。昨年(2018年)2月末時点では、34都道府県・69機関にとどまっていたので(関連記事はこちら)、この1年間で5県・44機関の増加となりました。ただし厚労省は、「看護師が就業しながら、身近な施設で研修を受ける」ことが必要と考え、「1都道府県に少なくとも1か所の指定研修機関を指定する」考えであり、さらなる体制整備が求められます。
指定研修機関が整備されていないのは、▼青森県▼新潟県▼山梨県▼三重県▼徳島県▼愛媛県▼長崎県▼宮崎県―の8県となりました。
なお、2020年4月からは、▼在宅・慢性期領域▼外科術後病棟管理領域▼術中麻酔管理領域—の3領域について、特定行為研修を「パッケージ」化し、あわせて研修内容を精錬して研修時間等を短縮―することが決まっています(関連記事はこちらとこちら)。特定行為研修を受けやすくする制度的対応が図られており、教育・研修体制の整備を行政・関係団体・医療機関が連携して進める必要があるでしょう。
旭川赤十字病院など17機関で、特定行為研修の区分を追加 なお、次の17機関では「研修できる特定行為区分」が追加されました。各機関で特定行為区分が追加(増加)されれば、看護師がより身近に研修を受講することが可能となり、「特定行為研修を修了した看護師」のさらなる増員が期待されます。
▽旭川赤十字病院(北海道)既に「血糖コントロールに係る薬剤投与」の1行為の研修を実施しており、ここに▼創傷管理関連―の1行為を追加
▽平心会須賀川病院(福島県)既に「呼吸器(気道確保に係るもの)」「呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)」「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)」「循環動態に係る薬剤投与」の4行為の研修を実施しており、ここに▼ろう孔管理関連▼血糖コントロールに係る薬剤投与関連―の2行為を追加
▽茨城県済生会水戸済生会総合病院(茨城県)既に「栄養・水分管理に係る薬剤投与」「血糖コントロールに係る薬剤投与」の2行為の研修を実施しており、ここに▼呼吸器(気道確保に係るもの)関連▼呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連▼呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連▼創傷管理関連▼循環動態に係る薬剤投与関連―の5行為を追加
▽自治医科大学(栃木県)既に「呼吸器(気道確保に係るもの)」「呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)」「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)」「循環器」「胸腔ドレーン管理」「腹腔ドレーン管理」「ろう孔管理」「栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)」「栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)」「創傷管理」「創部ドレーン管理」「動脈血液ガス分析」「透析管理」「栄養・水分管理に係る薬剤投与」「感染に係る薬剤投与」「血糖コントロールに係る薬剤投与」「循環動態に係る薬剤投与」「精神・神経症状に係る薬剤投与」「皮膚損傷に係る薬剤投与」の19行為の研修を実施しており、ここに▼術後疼痛管理関連―の1行為を追加
▽東京都済生会東京都済生会中央病院(東京都)既に「呼吸器(気道確保に係るもの)」「呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)」「血糖コントロールに係る薬剤投与」の3行為の研修を実施しており、ここに▼栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連▼動脈血液ガス分析関連▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連▼循環動態に係る薬剤投与関連―の4行為を追加
▽セコム医療システム株式会社(東京都)既に「呼吸器(気道確保に係るもの)」「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)」「ろう孔管理」「栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)」「動脈血液ガス分析」「栄養・水分管理に係る薬剤投与」「感染に係る薬剤投与」「循環動態に係る薬剤投与」―の8行為の研修を実施しており、ここに▼創傷管理関連▼血糖コントロールに係る薬剤投与関連―の2行為を追加
▽董仙会恵寿総合病院(石川県)既に「呼吸器(気道確保に係るもの)」「呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)」「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)」「栄養・水分管理に係る薬剤投与」の4行為の研修を実施しており、ここに▼創傷管理関連▼動脈血液ガス分析関連▼血糖コントロールに係る薬剤投与関連―の3行為を追加
▽有隣厚生会富士病院(静岡県)既に「呼吸器(気道確保に係るもの)」「呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)」「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)」「栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)」「創傷管理」「創部ドレーン管理」「動脈血液ガス分析」「栄養・水分管理に係る薬剤投与」「血糖コントロールに係る薬剤投与」「循環動態に係る薬剤投与関連」の10行為の研修を実施しており、ここに▼栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連―の1行為を追加
▽滋賀医科大学(滋賀県)既に「呼吸器(気道確保に係るもの)」「呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)」「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)」「ろう孔管理」「創傷管理」「創部ドレーン管理」「動脈血液ガス分析」「栄養・水分管理に係る薬剤投与」「循環動態に係る薬剤投与」の9行為の研修を実施しており、ここに▼術後疼痛管理関連―の1行為を追加
▽大阪市立大学(大阪府)既に「呼吸器(気道確保に係るもの)」「呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)」「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)」「動脈血液ガス分析」「血糖コントロールに係る薬剤投与」の5行為の研修を実施しており、ここに▼栄養・水分管理に係る薬剤投与関連―の1行為を追加
▽和歌山県立医科大学(和歌山県)既に「呼吸器(気道確保に係るもの)」「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)」「栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)」「栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)」「栄養・水分管理に係る薬剤投与」の5行為の研修を実施しており、ここに▼血糖コントロールに係る薬剤投与関連―の1行為を追加
▽川崎学園(岡山県)既に「呼吸器(気道確保に係るもの)」「呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)」「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)」「腹腔ドレーン管理」「ろう孔管理」「栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)」「栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)」「創傷管理」「動脈血液ガス分析」「栄養・水分管理に係る薬剤投与」の10行為の研修を実施しており、ここに▼胸腔ドレーン管理関連▼創部ドレーン管理関連▼循環動態に係る薬剤投与関連―の3行為を追加
▽国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター(香川県)既に「呼吸器(気道確保に係るもの)」「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)」の2行為の研修を実施しており、ここに▼呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連―の1行為を追加
▽近森会近森病院(高知県)既に「栄養・水分管理に係る薬剤投与」「血糖コントロールに係る薬剤投与」の2行為の研修を実施しており、ここに▼創傷管理関連―の1行為を追加
▽弘恵会ヨコクラ病院(福岡県)既に「創傷管理」の1行為の研修を実施しており、ここに▼呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連―の1行為を追加
▽鹿児島大学病院(鹿児島県)既に「呼吸器(気道確保に係るもの)」「呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)」「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)」「栄養・水分管理に係る薬剤投与」「感染に係る薬剤投与」「血糖コントロールに係る薬剤投与」「循環動態に係る薬剤投与」の7行為の研修を実施しており、ここに、▼創傷管理関連―の1行為を追加
▽仁愛会浦添総合病院(沖縄県)既に「呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)」「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)」の2行為の研修を実施しており、ここに▼ろう孔管理関連―の1行為を追加  2025年には地域医療構想の実現が求められており、これから、在宅・介護施設のニーズが新たに「30万人分」増加すると試算されています(「療養病棟に入院する医療区分1の患者」の7割などが在宅・介護施設に移行することになるための増加分)(関連記事はこちらとこちら)とこちらとこちら)。こうした医療・介護ニーズに対応するためには、「特定行為研修を修了した看護師」が、粗い試算で10万人程度(看護師全体の1割程度)必要になると厚労省は考えています。一方で、2018年9月末時点で「特定行為研修を修了した看護師」は1205人にとどまっており、「研修体制の整備」「送り出す側の医療機関のバックアップ体制の強化」などがこれまで以上に求められるでしょう。

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